入札、という言葉を聞いて、どんなことをイメージするだろうか。耳にはするがよく知らない、自分にはあまり関係ない、というビジネスパーソンが多いのでは。
日本全国で年間100万件以上の入札情報が公開され、落札総額は20兆円という入札市場。国や地方自治体などの公的機関において、物品の調達や新規プロジェクトの発注などは、基本的に入札を経て参加した事業者に発注される。入札関連の情報は公開されているものだが、各機関のWebサイトに掲載されている情報が見つけにくいこともしばしばなので、「見たことがない」「知らない」という人が多いだろう。
総合型アウトソーシング事業や在宅ワークプログラムを展開している株式会社うるるでは、2008年より入札情報速報サービス「NJSS」(エヌジェス、参照リンク)を提供している。これは入札情報を知りたい、入札に参加したいという企業向けのサービスで、現在は約1500のユーザーが利用している。在宅ワーカーを中心とした130人のスタッフが、全国5500もの発注機関の情報を毎日目視で確認して入力したデータを提供。2014年12月には、入札市場分析や競合分析も可能な情報を提供するプレミアムサービスを開始している。
入札についてのあらゆる情報を網羅しているNJSS。そもそもどのような案件があるのか、参加するために必要になるものはどういったことなのか? 入札に関する基本的なことを中心に、うるるNJSS事業部長の渡邉貴彦氏に話を聞いた。
――最初に、「そもそも入札とは何か」という基本的なところからお聞きしたいと思います。どうしても、道路工事をはじめとする公共事業みたいなものをイメージしてしまうのですが。
渡邉: まず、国や自治体といった公の発注機関がモノを買う場合には、基本的に入札案件にしなくてはいけないんです。担当者が一存で勝手に税金を使ってはいけないので、国民や市民が納得する方法で購入しなさい、というのが「入札」という仕組みです。
――では、職員が使う文房具や飲食料品なども対象になるのですか?
渡邉: はい。大きなものでは道路工事や橋、ダムといったものもありますし、小さいものではトイレットペーパーやボールペン、刑務所や自衛隊などの備蓄品のおにぎりといった役務物品があります。
――「役務物品」というのはあまり馴染みのない言葉ですね。どういったものを指すのでしょうか?
渡邉: 建築土木系以外の案件だと思ってもらって結構です。例えばIT関連のPCやシステムといったものも含まれますし、変わったところでは地方自治体のゆるキャラデザインの募集やグッズ製作業務の入札というものもあります。
――もしかして、着ぐるみに入る”中の人”の案件もあったりするのでしょうか?
渡邉: NJSSで調べてみると、「イメージキャラクター活動業務委託」というものがありますね。
――なるほど。気になったのは、大きな庁舎の中に入っている食堂や売店なども入札によって業者が決っている、ということなのでしょうか?
渡邉: そうです。食堂などはよくケータリングの会社が応札しています。4月に今までの業者さんと変わって、(食堂の)味が変わったという話がありますが、それが理由です(笑)。
――入札が食堂の味を左右していると(笑)。いずれにしても、さまざまな官庁・地方自治体であらゆるものが入札されているということですね。
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