「入札」って何ですか?――入札情報サービスに聞きましたゆるキャラ案件、オリンピック案件、マイナンバー案件……(2/4 ページ)

» 2015年01月19日 08時10分 公開
[ふじいりょう,Business Media 誠]

入札に参加するためには?

入札参加資格を満たしていれば、だれでも入札に参加できる

――続いて、「どうすれば入札に参加できるのか?」ということをお聞きしたいと思います。まずは最低限の条件としてクリアしなければならないものから教えて下さい。

渡邉: 全ての入札案件には、公示書という文書が出るのですが、そこに「入札資格」について記載されています。少しややこしいのですが、役務物品に関しては、国や付随する外郭団体には全省庁統一資格というものがあって、ランクがA・B・C・Dの4つに分かれています。各発注案件ごとに、この統一資格のどのランクならば入札に参加できますよ、と定められているわけです。それを満たしていれば、どなたでも参加できます。


統一資格審査申請・調達情報検索サイト。全省庁統一資格審査の申請や、各省庁の調達情報の検索を行える

――全省庁統一資格は、どうやって取得できるものなのでしょう?

渡邉: インターネット上で必要事項を記入して申請することができます。登記事項証明書・納税証明書・1年分の財務諸表・営業経歴書の4つの添付書類をデータまたは郵送すれば資格を取得できます。管轄は総務省ですが、どの省庁に送っても結構です。

――国の機関や外郭団体は、その資格で通るということですね。

渡邉: はい。別の省庁だとしても、案件ごとに取得する必要はありません。外郭団体の場合、独自の資格があるのですが、中央省庁の関係団体に関しては全省庁統一資格があればほぼ入札に参加することができます。1度取得すると最大3年間有効なので、ビジネスチャンスを逃さないという意味でも絶対持っておいた方がいいです。

――なるほど。地方自治体の場合はいかがでしょう?

渡邉: 各市区町村ごとに独自で入札をされているので、自治体によって全部別の資格になります。そのあたりはNJSSで確認できるようにしてあります。あと地方自治体の場合、事業所の所在地の指定があるものが多いですね。緊急性を要する事態に対応できるか、という案件もありますが、その自治体に納税しているかどうかも重視されます。

――基本的に地元に還元するということですね。

入札の種類は? 

――資格を取得して、ランクによって参加できる入札が定められているということですが、AからDまで全ての資格を有していれば、どの入札にも参加できるのでしょうか?

渡邉: 入札資格は基本的に、各企業ごとに付与されますので、1社でAからDの全てのランクを付与されることはできず、1種類の資格では1社で1ランクのみの付与となります。また、入札案件には、公示種類というものがあります。俗に言う入札は「一般競争入札」というもので、必要書類や提案書を提出して、見積もり金額を応札して一番条件の良い事業者が落札するという、我々がよく知っているものですね。それ以外には「簡易入札」と「指名競争入札」、あとは「随意契約」と呼ばれるものがあります。

――「簡易入札」とは、どういったものになるのでしょう?

渡邉: 簡単に言うと見積もり合わせですね。提出書類はなく、見積書だけで一番安いところに発注するというものです。例えばボールペン1本だけ欲しいといった際には、複雑な手続きを経ずに、一番安く売ってくれる会社さんと取引します、ということですね。

――とはいえ、ボールペンが一本ならば少額ですが、中には数万本単位で必要というケースもあるわけですよね? 一般競争入札と簡易入札を分ける基準はあるのでしょうか?

渡邉: 一般的に言われているのは、100万円未満では見積もり案件で、100万円を超える場合には一般入札で決めなさい、とされています。ですので、100万円未満で済ましたい、という発注側の意図が見える案件も中にはありますね。

――なるほど。「指名競争入札」と「随意契約」というのは?

渡邉: 数社に依頼をして見積もりを取るのが指名競争入札。1社だけを指定するのが随意契約になります。特定の技術を有していて、要件に合う会社が一つしかない、という案件が該当しますが、過去に不透明な随意契約が散見されたこともあり、民主党政権時に全部見直しをすることになりました。それを一般競争入札に変えてみると、意外と他の会社も参加できる、ということにもなっています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.