世界のスポーツカーの中でも高い人気を誇るマツダ・ロードスター。4代目となる新型ロードスターの販売開始がいよいよ6月に決まり、先行予約の受付も始まった。一部のジャーナリストによる試乗レポートも発表され、注目を集めている。
マツダの公式サイトで発表されている主要諸元を見ると(参照リンク)、具体的な数値が書き込まれているのはボディ寸法だけ。夢の1トン切りを達成するのでは、と多くのファンが期待している車両重量はまだ空白のままだ。
車体剛性を向上させながら大幅な軽量化を実現、新世代エンジンSKYACTIV-Gを搭載することでも注目のマツダ・ロードスター。新型ロードスターはどんなメカニズムになっているのか? 本記事で写真を見ながらチェックしていこう。
側面透視図を一目見て分かるのは、レイアウトの秀逸さだ。重いパーツは前後輪の間に上手くまとめられている。特にエンジンは前輪にオーバーハング※しないフロントミッドにマウントされ、きびきびしたハンドリングであろうことが想像される。
また横からぶつかったときに強度を確保するための骨格部品を上手く回避しつつ、着座位置も低く設定されており、運転席はスポーティーなポジションだ。クルマがひっくり返った時のための乗員保護を担うロールバーもシャシーに直接付いており、オープンカーとしての安全性も確保されている。
上面透視図からもレイアウトの良さは見てとれる。前後車軸の間に全てのメカニズムが収容されていることが分かるだろう。
フロントサスペンションのアッパーアームはアルミ製で、大胆な肉抜き処理が施され、軽さと高い剛性の両立が図られている。スポーツカーにとってタイヤの位置決めは極めて重要な要素であり、速く走るためのみならず、ドライバーの操作に追従し気持ち良く走れる操縦性にも大きく貢献する。
ロワーアームは取り付けスパンを広くとっている。前輪の前後方向位置決めの主役となるのは、このロワーアームだ。フロント側はアッパーアームの前側のほぼ真下で支持、リア側はエンジンのほぼ後端に近い位置でマウントされている。面白いのは前後サスペンションの前後取り付けスパンを比べると、ほぼ同じか、リアが少し広めに採られており、駆動力がかかる分、リアの剛性を少し高めていることが分かる。いずれにしてもどちらかが貧弱ということでなく、できる限りの剛性確保を考えていることが分かる。
ステアリングのタイロッドは前引き。これは前輪のかじを切るためのリンクがタイヤの中心よりも前にあるか後ろにあるかということだが、理論的には前にあった方が無理がない。後ろにあるとタイヤが横力を受けた分を受け流すたわみ代をどこかに設けなくてはならないからだ。ダイレクトなフィーリングを実現するには有利な方法だ。前引きが実現しやすいのはFRレイアウトのおかげでもある。
リアサスペンションはメインとなるアッパーアームとロワーアームがほぼ上下に並ぶ。写真を見るとロワーアームには若干後傾角が付いているが原則的にはほぼ車体の左右方向で支持しており、後輪の左右の位置決めはこの2本のアームが担っていると考えられる。
またこのアームはハブキャリアの中心より前方でマウントされているので、横力がかかった時にはトーアウト(真上から見たとき、進行方向に対してタイヤが開くこと)のモーメントが発生して、旋回を補助する。どちらかと言うと高速旋回での安定性より、小回り旋回をキビキビさせることを狙っているように思える。
ただし、これは前後から斜めに支えるアーム設計にもよるので、メインのアーム2本だけですべてが決まるわけではない。その斜めのアームはともに前後の位置決めをつかさどる役割を果たすと同時にストローク時のトー角度をコントロールする役割を担う。斜めアームの前後取り付けスパンは広くとられており、高剛性が期待できる。
またデフマウントの取り付けスパンも広くとられている。エンジンからドライブシャフトを経由して伝わってきた力がデフで向きを変えてタイヤを回すので、このデフのマウントがゆるいと力が逃げてしまい、ドライバーの操作に対して遅れが出たり、反応がリニアでなくなったりするのである。ドライブトレーン補強板と合わせてこの駆動系を屈強に仕上げた点からみても、マツダのスポーツカーに対するこだわりが見てとれる。
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