インタビュー
» 2015年03月02日 08時00分 公開

エリート集団の裁判所が、「ブラック企業」と呼ばれても仕方がない理由ああ、絶望(前編)(4/5 ページ)

[土肥義則,Business Media 誠]

自由に発言することができない

烏賀陽: 裁判官というのは「権力から干渉されず判決を書く」のが仕事のはず。そのために「個人の価値や良心だけに従って判決を書いてよい」と憲法が手厚く保証している。なのに、瀬木さんの話を聞いていると、判決の内容について上部組織から統制されているように感じるのです。統制しているのは最高裁の上層部ですか?

瀬木: 2つあると思うんですよ。1つは、ご指摘のとおり最高裁の上層部。それを束ねる最高裁長官と事務総長も含まれますね。もう1つは、自己規制。この2つが相まって、非常に息苦しい組織と人のシステムをつくってしまいました。

烏賀陽: 上層部があれこれ言わなくても、自主的に上層部に嫌われないような判決を書くのですね。

瀬木: はい。上層部に何が受け入れられるのか、何が受け入れられないのかを推測して、それに沿った行動をしなければいけない。ここで問題なのは、さっきも言ったとおり、上層部の意見が明示されていないこと。例えば「憲法違反の判決はダメですよ」ということであれば、そのよしあしは別にして、基準は分かりますよね。しかし、何が不都合なのかよく分からないから、左遷されて初めて推測するんですよ。「オレがあのとき書いた判決がダメだったのか」と。

烏賀陽: 上手な統制ですねえ(苦笑)。

瀬木: 「オレがあのとき書いた判決がダメだったのか」と言いましたが、それも推測なんですよ。異動の理由なんて、誰も言ってくれませんから。おっしゃるとおり、統制のシステムとしては非常に高度で怖いですよ。

 以前、最高裁の長官候補だった人が、長官の気に入らない判決を書きました。その結果、最高裁の長官が怒って、その人を長官候補から外したことがありました。

烏賀陽: 「あなたは、私の後継者ではない」と。

瀬木: はい。最高裁の判事になっても「上層部に嫌われたら、何かされるかもしれない」という不安が残るんですよ。つまり、最高裁長官にならない限り、いつもそうした不安が残る。そんな組織なので、自由に発言することなんてできませんよね。

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