アスクルはなぜ当日配送が可能なのか?進化する物流ビジネス最前線(3/3 ページ)

» 2015年05月13日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]
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“物流ビッグデータ”の活用

 川村氏は今後もまだ物流面での品質、スピードを改善できると見ている。例えば、ピッキング方法。現在アスクルは、高頻度の商品にはデジタルピッキングの設備を導入しているが、センター全体の生産性を向上させるためには中頻度の商品と低頻度の商品をどのようなバランスで配置すべきかが重要なポイントだという。

アスクル 上級執行役員 ECR本部長の川村勝宏氏 アスクル 上級執行役員 ECR本部長の川村勝宏氏

 たとえ高頻度の商品のピッキングだけ速くても、中頻度の商品が遅ければ全体のスピードは上がらない。ピッキングが速くても梱包が遅ければ意味がない。どこを自動化、高度化すれば全体の流れを阻害することなく最適な出荷作業ができるのかという点ではまだまだ改善の余地があるという。

 それを検証する上で“物流ビッグデータ”の活用は重要だとする。ここで指すデータとは、商品入荷数やシステムから読み取れるデータだけでなく、倉庫内の人の動きや個々人の能力も数値化して、顧客の商品注文から配送完了まで物流プロセスすべてのデータをいう。こうしたビッグデータの収集、分析に今後は取り組んでいく。

 「将来も人間の作業がゼロになることはないが、物流システムの高度化が進めば限りなく人手は少なくなるだろう。それはコスト削減にも大きく寄与する」(川村氏)

 LOHACOはロイヤルカスタマー会員を指す「ロハコさん」を現在の20万人から100万人へ一気に増加することを見据えている。それに向けて今後も物流改革の歩みを止めることなく、スピードアップ、品質向上に努めていく。

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