街中を歩いていて、佐川急便のクルマをよく目にする。いや、ほぼ毎日見ているはずなのに、その光景が当たり前すぎて気づいていない人も多いだろう。それもそのはず、同社が1日で取り扱う荷物の数は400万〜600万個にも達するからだ。
毎日、荷物を集めて、配達して……また荷物を集めて、配達して……。年間で換算すると、実に12億個。配達員が持つ端末と基幹システムの間には膨大なデータが飛び交うので、「担当者はさぞ大変だろうなあ」と想像がつく。実際、あまりにもデータが多いので「細かく分析することができなかった。よく分からない部分もあった」(同社)という。しかし、今の時代、それではいけない。これまで埋もれていた情報をなんとか活用することはできないかということで、2014年の春からビッグデータを本格的に活用し始めたのだ。
ビッグデータのシステムが稼働すれば、必要な情報がちょちょいのちょいで分かるので、仕事のスピードが速くなる。問題点が浮き彫りになるので、効率的に仕事ができる。そんな夢のようなシステムであると思い込んでいる人がいるかもしれない。確かに、必要な情報をすぐに手にすることができるようになるかもしれないが、それをすぐに現場に反映できるかどうかは別問題。佐川急便でも導入してまだ1年ちょっとなので、「記者さんにお話できることが少ないんですよ」とのこと。
「それは仕方がないですねえ。じゃあ、事例が紹介できるようになったら、またお願いします」と引き下がることは簡単だが、ここで諦めれば面白いネタを逃すかもしれない。具体的な話を紹介するのがまだ難しいのであれば、その前段階……つまり、今何を考えているのかが貴重な情報になるかもしれない。例えば「データを分析したところ、これからはA作戦がいいかも。いや、B作戦かな」とか「さらにデータを分析したところ、数年後はこんな働き方になるかも」とか。
そんなこんなで無理を承知の上で、佐川急便・IT企画部の丸山信二部長に取材をお願いした。ビッグデータを使って、注目しているキーワードは「品質」と「実績」だという。それはどういう意味なのか。ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則が聞いてきた。
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