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» 2015年06月09日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由 (2/4)

[窪田順生,ITmedia]

なぜ外国人たちは日本に観光へ訪れないのか

新・観光立国論』(著・デービッド・アトキンソン氏、東洋経済新報社)

 なぜ外国人たちは日本に観光へ訪れないのか。いったいどうすれば、普通の国並に外国人が遊びに来ておカネを落としてくれるのか。

 その答えは、先日発売された『新・観光立国論』(東洋経済新報社)という本のなかにある。実は先の「26位」というのも、本書のなかで紹介されたものだ(世界銀行の2013年データより作成)。

 著者は本連載でもかつて紹介したデービッド・アトキンソン氏(関連記事)。ゴールドマンサックスで「伝説のアナリスト」として名を馳せた御仁で、現在は国宝などの文化財を修復する「小西美術工藝社」の代表取締役社長を務めている。オックスフォードで日本学を学び、休日は京都の町家で茶道を楽しむデービッドさんは日本で暮らして25年になる。そのへんの日本人よりも日本文化に造詣が深い。

 そんな人物がなぜ「観光立国」を論じるのかと首を傾げるだろうが、これはデービッドさんの専門である「文化財」が関係している。

 「観光立国」として名の知られた国だけではなく、世界では文化財というのは、自国の観光客のみならず他国からの観光客を呼べる大切な“観光資源”という位置付けである。だから、ガイドや通訳だけではなくイベントやらでとことんマネタイズする。そのカネを修復や保存にまわすことができて、さらに魅力のある施設になれば、より多くの観光客が訪れる。つまり、文化財は地域の経済や雇用に好循環を生み出す“エンジン”のような存在なのだ。

 しかし、日本の文化財は違う。あくまで「保存」がメインであって、観光客を呼ぶことに重きを置いていない。それは外国人観光客への対応を見ても明らかだ。立て看板の横に直訳した英文の解説があるくらいで、「拝観料を払ったら自分たちで適当に見学して帰ってよ」と言わんばかりだ。

 ハナから「客」をもてなすつもりがないのだから、飛行機に乗って遠路はるばるやってこようという物好きも少ない。外国人観光客数ランキングが「26位」という結果も当然というわけだ。

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