大井川鐵道で「ジェームス」の活躍が少ない理由杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)

» 2015年07月17日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

後から現れて、先に去るジェームス

 大井川鐵道のトーマスは、6月7日から主に金曜、土曜、日曜、祝日の運行だ。夏休み期間の7月20日からは月曜と木曜が追加される。火曜と水曜はお休みである。トーマスにも休憩や点検が必要だ。一方、ジェームスは夏休み期間限定で、トーマスが休みの日である火曜と水曜に走る。ただし、7月11日と12日は走った。8月は27日と28日も走る。この4日間はトーマスとジェームスが両方とも走る。9月と10月は走らない。

トーマスとジェームスの重連運転は7月9日だけ。千頭駅の入れ替えはかなり手間がかかった。まずトーマスを切り離し、ジェームズが客車を押して後退し、トーマスがポイントを渡って隣の線路に入り…… トーマスとジェームスの重連運転は7月9日だけ。千頭駅の入れ替えはかなり手間がかかった。まずトーマスを切り離し、ジェームズが客車を押して後退し、トーマスがポイントを渡って隣の線路に入り……
ジェームスとトーマスが一緒に活躍する日は少ない ジェームスとトーマスが一緒に活躍する日は少ない

 明らかにジェームスの休みのほうが多い。トーマスが「ずるいよ」とヘソを曲げるかもしれない。トーマスとジェームスがともに走る日が、もう少し多くてもいいと思う。大井川鐵道のダイヤとしても対応可能なはずだ。大井川鐵道のダイヤでは、あらかじめ3往復SL列車を設定済みだからだ。

 通常の大井川鐵道は、原則としてSL急行「かわね路1号(下り)」「かわね路2号(上り)」を毎日運転する。この1往復は国鉄時代を継承する黒い機関車を使う。そして、臨時SL急行として「かわね路13号」「かわね路14号」「かわね路11号」「かわね路12号」が設定されている。毎日運転のかわね路1号、かわね路2号より早い時間帯だ。

 トーマスまたはジェームスが走る日も、黒い機関車のかわね路1号、かわね路2号は走っている。国鉄時代を再現した黒いSL列車も人気だ。やめるわけにはいかない。トーマスまたはジェームスは、かわね路13号、かわね路14号のダイヤを使って走る。また、トーマスとジェームスの両方が走る日は、トーマスがかわね路13号、かわね路14号、ジェームスがかわね路11号、かわね路12号のダイヤで走る。

 なぜ、ジェームスの出番が少ないのだろうか。3往復も需要がある日が少ないか、ジェームスの調子が良くないか。あるいは、黒い機関車の出番を増やしたいか。大井川鐵道の都合ももちろんある。ほかにも大人の事情があるかもしれない。

大井川鐵道の列車ダイヤグラム。トーマスとジェームスが両方とも走る日。黒い太線が「SLかわね路」、青い線がトーマス、赤い線がジェームス。緑の線はトーマスやジェームスが運転する日に走る臨時電車急行だ。3往復。トーマスの観客動員の多さを示している 大井川鐵道の列車ダイヤグラム。トーマスとジェームスが両方とも走る日。黒い太線が「SLかわね路」、青い線がトーマス、赤い線がジェームス。緑の線はトーマスやジェームスが運転する日に走る臨時電車急行だ。3往復。トーマスの観客動員の多さを示している

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