安倍さんが憲法違反をした理由は、米国が“親会社”だからスピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2015年07月21日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

米国に「依存」している国なのだ

 実は、コスタリカは集団的自衛権を掲げる米州相互援助条約(リオ条約)の加盟国であり、隣国ニカラグアとの紛争では、米州機構(OAS)による安全保障の枠組みにかなり助けられた。国内には米軍も駐留している。つまり、日本同様に安全保障を米国に「依存」している国なのだ。

 米州機構はアメリカ大陸の複数国がかかわる「集団安全保障」なのだから、そこまで米国の影響下ではないという方もいるが、リオ条約は米国が中南米に軍事介入する根拠にもなったほど影響力が強い。実際、それに嫌気がさしてボリビア、エクアドル、ニカラグア、ベネズエラといういわゆる「反米左派」が脱退を表明したほどだ。

 つまり、パチェコ大統領が憲法違反をしたのは、なにも戦争がやりたいわけではなく、日頃から安全保障関連で世話になっている米国様の顔色をうかがったからなのだ。「おまえら、このまま二流国家になるのかよ」とワシントンでプレッシャーをかけられたことで、遮二無二に安保法案を通す安倍さんの姿にモロかぶりではないか。

 この2人のリーダーの立ち振る舞いから、この問題の根っこにあることが見える。それは「軍隊のない国家」では、実は憲法よりも米国との安全保障が“上”にあるということだ。

 そんなの国家じゃないというかもしれないが、悲しいかなこれが現実なのだ。会社でたとえるのなら、日本の首相はしょせん、米国という親会社の意向をそのまま実行する子会社の社長にすぎない。われわれ国民はそこの社員だ。

 想像してほしい。子会社の社長に「親会社をなんかシカトしろ」と迫って、社員がワーワーとデモをする。退陣に追い込んだとして、この会社は何か変わるだろうか。なにも変わらない。

 しばらくして親会社から新しい社長が送り込まれる。最初は「親会社なんか関係ない、オレたちのやりたいようにやろうぜ」とか威勢のいいことを言うが、すぐに「親」の顔色をうかがうようになる。「最低でも県外」とか言い出して、親会社の逆鱗(げきりん)に触れた社長がすぐに首をはねられたことからも分かるように米国の決定は絶対なのだ。

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