あなたの給与は上がってる?――“ベア”復活のきざし
ベアという言葉は“死語”なのだろうか? 今年は「定昇とベアともに実施」した企業が増えているものの、今後は成果主義を考えている会社が4分の3に達した。日本経済団体連合会調べ。
勤務年数や年齢に応じて賃金を上げることを「定期昇給」(定昇)、定昇以外で物価や賃金水準に合わせて賃金が上昇することを「ベースアップ」(ベア)という。だがバブル崩壊後は、不景気などを理由に「ベアゼロ回答」の企業が相次いだ。さらに雇用体系が変化し終身雇用制ではなく年棒制や成果主義を導入する企業が増えたことから、ベアは“死語”になりつつある。
企業で働くビジネスパーソンにとって、定昇やベアが実施されるかどうかは重要だ。失われつつあるベアだが、実は「行われている!?」という調査結果が出た。
日本経団連は「2007年春季労使交渉」に関するアンケートを実施した。日本経団連の会員企業および東京経営者協会会員企業の448社が回答。従業員500人以上の企業は344社、500人未満は104社で、調査期間は6月1日から6月29日まで。
「ベア・定昇ともに実施した」企業は15.2%、前年と比べ5.5ポイント増
今年の賃金決定(非管理職のみ)で「定昇のみ」とした企業が30.6%で最も多く、次いで「ベア・定昇の区分なく賃上げ」が18.3%であることが、日本経済団体連合会(日本経団連)の調べで分かった。ただ、いずれも昨年と比べ減少、「定昇のみ」は前年比−7.9ポイント、「ベア・定昇の区分なく賃上げ」は同−3.8ポイントだった。一方で「ベア・定昇ともに実施した」企業は15.2%で、昨年と比べ5.5ポイント増加した。
この結果について日本経団連では「業績が回復している企業が増えているため、ベアの実施が増えているのだろう。不景気が長く続いたため、従業員に賃金で報いたいという企業が多くなっているのでは」と見ている。
しかし、今後の望ましい賃金のあり方については「定昇のみとし、成果や業績は賞与に反映させていくべき」(45.7%)が最も多く、次いで「定昇制度を見直しまたは廃止し、降給を含めた成果や業績による賃金とすべき」(29.3%)となった。この2つを合わせると全体の4分の3が、ビジネスパーソンの成果や業績を、賃金に反映していく考えのようだ。
20〜30代前半社員の給与を上げようという動き
労使交渉の結果、最も多く取られた措置は「賞与・一時金額の引き上げ」(38.8%)、次いで「若年層の重点配分」(31.3%)、「次世代育成関係施策(児童手当拡充など)」(21.4%)だった。若年層の重点配分の回答が多かった理由は「20〜30代前半を中心に賃金改善に取り組んでいる企業が増えている」(日本経団連)。背景にはバブル崩壊後、「賃金が上がらなかった(上げられなかった)世代に給与を上げようという動きがある」(同)と指摘する。
一方で「賞与・一時金の業績連動制導入」は前年比−7.5ポイント、「退職一時金・年金制度の見直し」は同−7.3ポイントと減少幅が大きかった。減少した理由は「これらの制度の導入や見直しをすでに終えた企業が毎年増加していることを反映している」(同)とした。
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