「銀行ばかりに預けてはいけない」――勝間和代氏の考え方(中編):ベストセラーの著者が語る(2/2 ページ)
「銀行に預金することは、投資信託に投資するよりも高い手数料を支払うということ」――金融リテラシーを学ぶ第一歩として、勝間和代氏が勧めるのが分散投資だ。まずは銀行預金を、国債や投信へ振り分けることから始めてみよう。
どこまでリスクが取れるのかを考える
繰り返しになるが、勝間氏が勧める投資の基本は分散投資だ。分散投資のパッケージ商品ともいえるのが投資信託だが、まだまだ日本では定着していない。投資信託とは多くの投資家からお金を集め、その資金を資産運用会社が株式や債券などに投資し、その運用益を投資家に分配するという商品だ。
しかし投資信託を購入する際に手数料(1%〜2%)がかかり、さらに保有していると信託報酬(1〜2%)が必要となる。中には手数料無料の投資信託もあるが、それでも株式手数料のほうが安いため株への投資を好む人も多い。また金融に詳しくない人は、手数料が必要というだけで敬遠し、銀行にお金を預ける傾向がある。
その投資信託よりもさらに多くの手数料を支払っているのが銀行預金だということをご存じだろうか。銀行は、顧客から預かったお金を企業などに融資することで利ザヤを手にしている。その間には人件費などのコストがかかり、結果的には見えない手数料を支払っていることになる。つまり最も多くの手数料を支払っている金融商品は銀行預金で、次いで投資信託、株式となるのだ。
投資信託の場合、投資運用会社が運用しているためコストがかかる。そのため株式よりも手数料が高くなるのだ。しかし勝間氏は分散投資をする上で、投資信託は優れた商品だという。「理論上からも統計上からも証明されていますが、リスクを分散させることにより、大きなマイナスを防ぐことができ、リターンを手にする可能性が高くなるからです」。また国債の利回りと比べ、割高であるという点からもお勧めの金融商品といえよう。
最近では、BRICs(ブリックス)を投資対象にした投資信託がよく売れている。今後の経済成長が期待できるため、ブリックスを対象にした投資信託に注目が集まっているのだ。しかしすべての金融商品にリスクとリターンがあることを考えれば、「ブリックスの投資信託がすごくいいよ」といった情報だけで、すべての資金を投資してはいけない。
逆に定期預金にすべて預けていれば、機会損失となってしまう。「まず、どこまでリスクを取れるのかを考える必要があります。そして、分散投資をして運用することが大切なのです」。そこで勝間氏は、投資の初心者に「資産四分法」の分散投資を勧めている。
勝間氏も実践している資産四分法とは何か? 次回、リスクの小さい投資信託の運用方法を紹介する。
(→後編に続く)
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