“守りながら攻める”普通預金&定期預金の使い方:銀行預金を考える(2/2 ページ)
銀行預金には「元本割れがない」という安心の半面、「物価が上がれば事実上の目減り」というデメリットがある。しかし探せば、メガバンクの定期預金よりも、高い金利が付く普通預金もある。ここでは銀行預金と上手に付き合う方法を考えていこう。
キャンペーン金利を狙って、預け替えるのがポイント
一方の定期預金は、満期が1カ月、3カ月、6カ月、1年、2年……などがあり、その期間に応じて金利が設定されている。現在は低金利だが、一般的に普通預金よりも金利が高い。
市場金利の引き上げは延期が続いているので、定期預金に預ける場合は短期間のものを選ぶ方がいいだろう。そして金融機関は6月か12月ごろに、夏・冬のボーナスシーズンに合わせキャンペーンを実施するので、この2回のキャンペーン金利を狙うのが得策だ。キャンペーン内容は金融機関によって違いがあり、金利を上乗せするものや抽選で懸賞金または懸賞品が当たるものもあるので、興味を持った金融機関に預けるといいだろう。
キャンペーン期間中に定期預金の6カ月ものまたは1年ものに預け、満期が来るたびに継続すれば、その都度、次のキャンペーン金利が適用される。例えばキャンペーンごとに、金利の高い定期預金に預け替えるのはいかがだろうか。
交渉しだいで、定期預金の金利が変わる?
普通預金と同様、一般的に定期預金の金利もネット専業銀行の方が高い。ただ定期預金の場合、店舗を持つ金融機関の金利は“ある方法で”上げられることが可能なのだ。
あまり知られていないが、窓口で交渉することで金利を上げてくれることがある。例えば数百万円以上の大口定期預金や、知人や友人と一緒に預ければ、金利を上乗せしてくれるケースもある。
もちろんいきなり「金利を上乗せしてくれ!」と言っても、良い返事は返ってこないだろう。まずは口座を開くなど支店長や担当者と仲良くなった上で、定期預金を預けるのが順序だ。“交渉力”に自信がある人は、一度、挑戦してみてはいかがだろうか。
少額ずつ複数の定期預金に預けることが大切
また定期預金を担保にして、金融機関からお金を借りることができることを知っている、または利用したことがある人は意外と少ない。「給料日までの数日間、生活費が足りない時は定期預金を解約せず、比較的安い金利※で借り入れることができるので便利」(やがら氏)だ。
一方、定期預金のデメリットは満期前に解約すると、中途解約利率が適用されるため、場合によっては普通預金よりも利息が少なくなることだ。この解約利率は金融機関によって違いがあり、当初の適用金利から10分の1になってしまうこともある。「定期預金を解約する可能性は誰にでもあるので、少額ずつ複数の定期預金に預けることも必要でしょう」(同)
とはいえ定期預金に元本割れはない。満期まで保有していれば金利が付き、たとえ途中解約をしても、元本は必ず戻ってくる。また普通預金と同じように定期預金の金利にも注目し、どの金融機関に預ければ自分にとってメリットが大きいのか。少なくとも夏と冬の年2回は見直した方がいいだろう。
銀行 | 定期預金1年もの金利(4月8日時点) | 50万円預けた場合(税引き前) |
---|---|---|
イーバンク | 0.82%(100万円未満) | 50万4100円 |
ソニー | 0.761%(10万円〜100万円未満) | 50万3805円 |
セブン | 0.450%(一律) | 50万2250円 |
住信SBIネット | 0.700%(100万円未満) | 50万3500円 |
ジャパンネット | 0.760%(100万円未満) | 50万3800円 |
イオン | 0.40%(300万円未満) | 50万2000円 |
三菱東京UFJ | 0.350%(300万円未満) | 50万1750円 |
三井住友 | 0.350%(300万円未満) | 50万1750円 |
みずほ | 0.350%(300万円未満) | 50万1750円 |
ゆうちょ | 0.350%※ | 50万1750円 |
やがら純子:
フリーアナウンサー、ファイナンシャルプランナー。CFP(R)、1級FP技能士。フリーアナウンサーとして報道番組などに携わる中で、一般家庭が金融の知識を身に付けなければいけない時代の到来に気づき、2000年にFP資格を取得。以後、テレビやラジオの経済番組、執筆活動、セミナーなどを行っている。オールアバウトで「マネープラン入門」連載中。
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