「友人の友人はアルカイダ」を思い出した宮崎駿監督の会見報道:誠 Weekly Access Top10(2008年11月22日〜11月28日)
日本外国特派員協会で行われた宮崎駿さんの会見。ほぼ全文を載せたことで、一部発言を取り上げた記事を読んだ時から印象が変わった人もいるようだ。
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先週最も読まれた記事は、「悪人を倒せば世界が平和になるという映画は作らない――宮崎駿監督、映画哲学を語る(前編)」。今回はランク外だったが、11月28日に掲載した「『世界は美しいものなんだな』と感じてくれる映画を作りたい――宮崎駿監督、映画哲学を語る(後編)」も多くのアクセスを集めた。
11月20日に日本外国特派員協会で行われた会見から1週間後の記事で、ほかの媒体でも速報が出ていたにも関わらず、多くの人に興味を持って読んでもらえたようだ。
本筋から離れた発言に注目が……
実はこの会見、当初の報道では本筋から離れた発言に注目が集まっていた。
――麻生首相がアニメ・漫画好きと公言されていますが、これをどうお考えになっていますか?
宮崎 恥ずかしいことだと思います。それはこっそりやればいいことです。
この発言を取り上げる媒体がいくつかあり、話題となっていたのだ。ただ、記事を読んでいただければ分かる通り、この部分は確かに刺激的な発言ではあるが、会見の本筋からは外れている。「人目は引くかもしれないけれど、もっと重要な発言があったような……」と筆者は違和感を抱いていた。
とはいえ、本筋から外れた刺激的な発言が取り上げられて、本筋がかすんでしまうことはしばしばあること。2007年10月29日に日本外国特派員協会で行われた鳩山邦夫氏の会見が、筆者の記憶に残っている。
当時法務大臣だった鳩山邦夫氏は、死刑制度についての考え方を会見で説明した。しかし、質疑応答でテロ対策について聞かれた時、日本国内にも危険性があることを示そうと「友人の友人にアルカイダがいる」と発言。これが大々的に報じられて、それまで冷静に話していた死刑制度の話が、全くかえりみられなくなったのだ(これは本筋が変わってしまった例かもしれない……)。
はてなブックマークをみていると、今回、宮崎監督の会見のほぼ全文を掲載したことで「読んでみて印象が変わった」というコメントがあった。テレビや新聞だと放送時間や紙面の制約があるため、全体を伝えることは難しく、刺激的な発言だけを取り上げることもある。刺激的な発言以外も伝えるためには、紙面や放送時間の制約がないネットの役割が大きいなと、今更ながらに思った。
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