どうやって“南極料理人”になったのか――南極越冬隊調理担当・篠原洋一さん(後編):嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(6/6 ページ)
南極観測隊の調理担当として、現在2度目の南極越冬中の篠原洋一さん。「南極観測隊」という言葉は知っていても、彼らが南極で何をしているのか、どうやったら隊員になれるのか、その詳細を知る人は少ない。インタビュー後編では、「南極に行く!」という夢を、篠原さんがどのようにかなえたのかを聞いていく。
「なんだ、そんなことか!」と思う人も中にはいるかもしれない。しかし上記の3つは、単純なようでいて、それを長い人生の中で実践し続けるとなるととても難しい。それを片時も忘れることなく継続したことにこそ、彼の「夢を手繰り寄せ得た秘密」が隠されているのかもしれない。
「帰国後は、自分の店を出したいですね」
2010年3月、篠原さんは任務を終えて帰ってくる。その後の人生設計は、もう考えているのだろうか?
「横浜で自分の店をやりたいと思っています。クルージングの経験者とかクルージングに興味のある人が集まってくるような和食屋さんを。あるいは、旅好きの若い人が集まってくる洋食系のお店もいいですね。
世の中には、腕の良い料理人がやっているのに潰れる店はいっぱいあります。逆に、専門的な技能はあまりなくても、いつもお客さんで賑わっているお店もあります。その差は何なのか? 私は自分の技術を生かしつつ、何よりもお客さんの笑顔でいっぱいのお店にしてゆきたいです」
彼の“帰国後”が、何やら今から楽しみになってきた。筆者はクルージングに行ったこともないし、“旅”は好きでも“若者”ではないが(笑)、しかし、彼の開く店に行ってみたいと思う。
まずは何より、篠原洋一さんの南極での任務成功と、無事な帰国を祈りたい。
嶋田淑之(しまだ ひでゆき)
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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