就職するのはどちらが大変? 就職氷河期のころと今
景気低迷などの影響を受け、2009年度の卒業予定者の就職は「厳しくなる」と予想されている。かつて就職氷河期を経験した人は現在の就職環境をどのように感じているのだろうか? 産業能率大学調べ。
景気後退の影響を受け、社会問題にもなった「内定取り消し」や「派遣切り」。2009年度の卒業予定者の就職はさらに厳しくなりそうだが、かつて就職氷河期に就活を経験した29歳〜33歳のビジネスパーソンは、今の就職環境をどのように見ているのだろうか?
就職氷河期と呼ばれたころと比較して、現在の就職状況をどのように思いますかと聞いたところ「自分のときの方が大変」(17.0%)よりも、「今の方が大変」(31.6%)と感じている人が多いことが、産業能率大学の調査で明らかになった。かつての就職氷河期では徐々に採用人数が減少していったのに対し、今回は「売り手市場」から一転して就職が厳しくなった。「変化があまりにも急だったことや次々に報道される雇用環境の悪化に対する不安感が、このような結果に結びついた」(産業能率大学)と分析している。
就職活動をする上で必要な力について聞いたところ、「面接力」が66.2%で断トツ。このほか「自己分析力」(44.6%)、「忍耐力」(23.2%)、「課外活動や勉強などの実績アピール力」(17.8%)と続いた。
インターネットによる調査で、29歳〜33歳の正社員1000人(男女500人ずつ)が回答した。調査期間は3月16日から3月18日まで。
就職氷河期の入社はプラス? マイナス?
帝国データバンクの調査によると、2009年度(2009年4月〜2010年3月)に正社員の採用を予定していない企業は45.9%。2008年度は30.4%だったことから、実に15.5ポイントも増加したことになる。就職氷河期を経験した人に“正社員採用ゼロ”が増えている現状について聞いたところ、「やむを得ない」が最も多く42.1%だった。しかし「企業の将来のために1人でも採用すべきだ」がほぼ同数の39.2%。「『企業の将来のために』との回答は、やや優等生的な回答にも感じられるが、社会人となって約10年が経過した人たちの経験から導き出された回答だろう」(同)
就職氷河期というと就職で苦労し、入社してからも過酷な労働を強いられているというマイナスのイメージがあるが、実際に就職氷河期を経験した人はどのように感じているのだろうか? これまでの社会人生活を振り返り、就職氷河期に入社したことが「プラスだった」という人は35.4%。一方「マイナスだった」は18.4%、「関係はない」が46.2%だった。「プラス」と回答した理由として「逆境に強くなった」「我慢強くなった」「仕事のありがたみが分かった」が目立った。一方、「マイナスだった」という人からは「教育が不十分だった」「同期が少ない」などの声が多かった。
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