ローカル/ワイドエリアの直流配電も模索
直流配電を模索しているのは住宅内だけではない。「グリーンITアワード2009」の「ITの省エネ」部門で経済産業大臣賞を受賞したNTTデータ/NTTファシリティーズの「グリーンデータセンタサービス」では高電圧直流給電システムの実証実験が行われているし、三洋電機のエナジーソリューション事業の実証実験の場として使われる加西事業所新工場「グリーンエナジーパーク」(2010年7月竣工予定)にも直流配電システムが導入される予定だ。
直流配電の広域化についてはどうか。超伝導パビリオンで高温超伝導ケーブルによる交流/直流送電のメリットを訴求していた住友電気工業は、太陽光発電所や風力発電所などの直流系発電所と、直流化された住宅や学校、オフィスビルなどを直流配電網で相互接続して、発電量や電力需要の平準化や蓄電池の利用効率化を図る次世代電力網の未来図を描く。その幹線となるのが、直流の高温超伝導ケーブルだ。
住友電気工業のブース担当者によると、高温超伝導ケーブルを直流で運用するメリットは「非常に大きい」という。「従来のケーブルを交流の高温超伝導ケーブルに置き換えると送電ロスを4分の1に削減できる。それを直流に変更すると、送電ロスはさらに10分の1に減る」(住友電気工業のブース担当者)。鉄道網に沿って基幹の直流電力網が敷設されているのは、「運行本数が多い都市近郊の鉄道はすでに直流電化されているため、切り替えが容易でメリットも大きい」からだ。
もちろん住友電気工業が描く次世代電力網の未来図は、現時点では未来予想図に過ぎない。しかしそこにコストとエネルギーの両面で大きな削減効果が見込める以上、住宅、ビル・工場、広域とさまざまな領域で直流配電への取り組みがなされていくことになるのではないだろうか。
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