コラム
マダム ブリュレ、大人気バウムクーヘンの秘密:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
大阪発の人気スイーツ、マダムシンコのバウムクーヘン「マダム ブリュレ」。通販では3〜4カ月待ち、デパ地下では開店前に整理券が配られたこともあるというマダム ブリュレの人気の秘密はどこにあるのだろうか。
2000年代は等身大でびっくりがテーマ
年代別に主なスイーツの流行を追ってみよう。
- 1970年代……たいやき、レアチーズケーキ
- 1980年代……いちご大福、クレープ
- 1990年代……ナタ・デ・ココ、ティラミス、パンナコッタ
- 2000年代……ドーナツ、ロールケーキ、バウムクーヘン
消費財の輸出入が活発になった1970年代、創造性と新奇性が求められた1980年代。ムードが重視された1990年代、そして2000年代になってからは「昔からあるものにひと味加えた新しさ」が望まれている。
大きな変化や新奇性よりも、平凡だが非凡、日常の中の非日常、新しい定番。ストックを上手にリメイクして、“等身大でびっくり”型の商品企画がウケている。
だが、単なる過去資産の流用ではヒットはしない。川村さんのマダム ブリュレ、その起源は彼女が子ども時代に憧れだったバウムクーヘンと、おいしかったお母さんのホットケーキ、そして好物のクレームブリュレの3つの良さを合わせたいという想いから生まれたという。
私にとってバウムクーヘンといえばユーハイム。そしてキャラメルと言えばプリンだ。どちらも懐かしく、今も舌の上で、その味を思い出すことができる。川村さんは消費者のそんな“忘れられない味”をベースに、今の社会が求めるものを重ね合わせた。それが忘れられない商品となったのである。
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