クロレッツがシェアを伸ばしているワケ:コンビニ、ヒット商品の理由(2/2 ページ)
あるコンビニチェーンで、お菓子分類の売り上げの12%を占めているガム。小スペースでも陳列できることから、面積当たりの売り上げ効率もトップレベルとなっている。そのガム市場でここ数年で最もシェアを伸ばしているのがクロレッツだ。その躍進の理由とは?
なぜクロレッツの売り上げが伸びたのか? 筆者はクロレッツがイメージ向上戦略(ブランディング)に成功したことが要因と考えている。
かつてキシリトールがガム市場でトップブランドとなったのは、「虫歯にならない」「歯医者さんが推薦」と、ガムをかむことが健康に良いというイメージを広げたからである。その時期、クロレッツは2番手商品としてのイメージしかなかった。
そんな中、このイメージを刷新したのが、2008年に新商品として登場し、大ヒットした「クロレッツアイス」である。クロレッツアイスはガムの中に液体を封じ込め、ガムをかむと中の液体が口の中に広がるという画期的な商品だった。この新商品のヒットによって、「新しい商品」「カッコイイ」というイメージがクロレッツブランドに加わり、ブランド価値も上がったのである。
その後、2010年にストライドが登場すると、ガム市場では「味が長持ちすること」が重視されるようになる。クロレッツはその流れにも素早く対応し、30分間、味が続く商品にリニューアルしたのである。クロレッツが躍進した背景には、こうしてガム市場での先進性を消費者に認知してもらったことがあるのだろう。
著者プロフィール:笠井清志
船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
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