大学生協でのヒットが救った――「ブラックサンダー」成長の裏側:コンビニ、ヒット商品の理由(3/3 ページ)
北京オリンピックで、体操個人総合銀メダルに輝いた内村航平さんの好物であるということから消費者の認知度が高まった有楽製菓の「ブラックサンダー」。コンビニを中心に流通し、現在年間4800万個を販売しているブラックサンダー誕生の裏側をご紹介する。
人気を維持できた理由は
ブラックサンダーの人気が出た理由としては、1)ボリュームが大きく、2)チョコレートとスナックを組み合わせた商品であり、3)30円という低価格を維持している点にあると筆者は考えている。
30円という低価格の商品で利益を得ることは非常に難しい。それを可能にした秘けつは、チョコレートもスナックも自社内で一から製造し、生産ラインのコスト削減を徹底的に行ったことにある。例えば、包材を最高ロットで仕入れたり、工程スピードのボトルネックを探して徹底的に改善したりしたことが挙げられる。
このようなブラックサンダーの製造ノウハウは、そう簡単に模倣できる領域ではないという。近年の原材料価格高騰の流れの中でも、商品内容は変えずに包装や生産ラインを改善したことで、利益を確保したノウハウは並ではない。
2008年には、北京オリンピック体操男子個人総合で銀メダルを獲得した内村航平さんの好物がブラックサンダーであることをメディアが取り上げ、主婦層への認知も広まった。今後は、この主婦層をターゲットとして、スーパーや量販店などにも積極的に展開していくようである。そのため、単価の高い「ビッグサンダー」(50円)や袋入りタイプ(300円)など、ファミリー向けの商品ラインアップも整備している。
まだまだ成長の衰えを知らないブラックサンダー。今後の展開が楽しみである。
著者プロフィール:笠井清志
船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
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