ケータイをやめ、これからスマートフォンを買うのは誰か?:新連載・遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(3/3 ページ)
「iPhone購入意向者より Android購入意向者のほうが“普通”?」「20代、30代、40代でそれぞれ利用率が高いアプリは?」――アスキー総研の遠藤諭所長が、ネット時代のデジタルコンテンツ消費について語る本連載。初回のテーマは“スマートフォンの利用動向”です。
持っているスマートフォンの機種で、その人の嗜好を知る
ここまで見てきて、iPhoneとAndroidでは、購入意向層にかなりの違いがあることが分かる。そして、この記事のタイトルでもある「これからスマートフォンを買うのは誰か?」という問いに対する答えとしては、次のようになるだろう。
iPhoneは、10代や20代後半の女性層に注目だが、全体としては、iPhone独特のユーザー層に支えられて伸びていくだろう。
Androidについては、現在のところ、購入意向者は30代後半をピークにして男性が3分の2近くを占める。これは、Androidの認知が進むことや、現在の半分程度のサイズの女性向け端末(海外ではすでに販売されている)の登場などによって、変化していくだろう(もっとも、この領域にはアップルも「iPhone mini」を投入するという噂もある)。全体としては、Android端末は従来の携帯電話の延長線上に捉えられている部分が大きい。いまのところ、利用者の職業としては営業職やエンジニア、管理職にやや偏っているAndroidだが、iPhoneに比べると、実は購入意向者の嗜好は一般的なものに見える。この“フツーさ”が、Androidの市場を一気に広げる材料となるのではないだろうか?
しかし、今後のスマートフォン利用者の姿として注目すべきは、スマートフォンで積極的にソーシャルメディアを利用する人たちだ。そうした層が、「ソーシャルネイティブ」ともいうべき新しい日本人のひとつの姿となってくる。スマートフォンが、かつての自動車のように、生活スタイルを決める最も重要なファクターになる可能性もあると思う。これを、スマートフォン利用者の最終的なゴールと考えて、ビジネスを組み立てるのがよいのではないか?【遠藤諭、アスキー総合研究所】
図9 ケータイ(フィーチャーフォン)からスマートフォンへの移行の図式。ケータイユーザーのうち、既存のiPhoneユーザーに近い層がiPhoneを、より一般的な層がAndroidに移行する。そして、それぞれにはソーシャルメディアを利用する層が含まれており、これが「ソーシャルネイティブ」だ
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遠藤 諭(えんどう さとし)
1956年、新潟県長岡市生まれ。株式会社アスキー・メディアワークス アスキー総合研究所 所長。1985年アスキー入社、1990年『月刊アスキー』編集長、同誌編集人などを経て、2008年より現職。著書に、『ソーシャルネイティブの時代』、『日本人がコンピュータを作った! 』、ITが経済に与える影響について述べた『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)など。各種の委員、審査員も務めるほか、2008年4月より東京MXテレビ「東京ITニュース」にコメンテーターとして出演中。
コンピュータ業界で長く仕事をしているが、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』の編集を手がけるなど、カルチャー全般に向けた視野を持つ。アスキー入社前の1982年には、『東京おとなクラブ』を創刊。岡崎京子、吾妻ひでお、中森明夫、石丸元章、米澤嘉博の各氏が参加、執筆している。「おたく」という言葉は、1983年頃に、東京おとなクラブの内部で使われ始めたものである。
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