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コラム

宿命のライバルはなぜ物流で手を組んだのか――アサヒ&キリンビール(2/2 ページ)

熾烈なシェア争いを繰り広げるアサヒビールとキリンビールとが共同物流部門の取り組みを開始するという。同業での共同物流や共同購買は、資本関係がなければ簡単には進まないという立場を取ってきたので、この組み合わせは意外だった。この変化は環境経営に新たな機会をもたらすことになるだろう。

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国内事業の収益性を高めて、海外で勝負するために

 国内市場では激しいシェア争いを繰り広げるキリンとアサヒの両社だが、国内市場は縮小傾向にある。国内の限定的な市場で不毛な戦いを繰り広げるよりも、国内事業の収益性を高め、海外事業を拡大するという戦略の方向性では共通している。

 共同物流は必ずしも同業他社と行う必要はないが、配送先の重なり、荷姿、匂い、温度管理などを考えると、同業他社との共同物流が最も効果が高い。

 人口減に伴い、国内市場の縮小はビール業界のみにとどまらず、非常に多くの業界に共通する課題である。深刻な課題ゆえに視野が狭くなってしまいがちだが、アサヒ、キリンのように視野や目標を高く持つことで、狭い市場での競争を乗り越えられる。それにより、今まで手つかずであった共同物流、共同調達により環境負荷の低減と収益性の改善を図るというのが、これからの日本企業の主要な戦略の1つになるのかもしれない。(中ノ森清訓)

 →中ノ森清訓氏のバックナンバー

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