横ばいのmixiと急成長するFacebook:遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(2/2 ページ)
mixi、Twitter、Facebook、Google+……さまざまなSNSが登場しているが、最も使われているのはどれなのだろうか。アカウント数でなく利用率を見ると、去年の12月と今年の8月とで大きな変化が起きている。
Twitter利用率はmixiに接近。Facebookは約3倍に急増
アスキー総合研究所では、8月上旬に「MCS 2011」の中間調査を実施した。昨年11月末〜12月初旬に行った本調査のアンケート対象者に、新たに約90個の設問に答えてもらった。前回のコラム(参照記事)では、スマートフォンの利用状況の変化についてお伝えしたが、やはりソーシャルメディアに関しても大きな変化が見られた。
下の図は、mixi、Twitter、Facebook、Google+について、昨年末のデータと8月の中間調査での利用率を比較したものだ(サンプル数はそれぞれ1万5件と6300件)。「各SNSのアカウントを所有しているか?」ではなく、「利用しているか?」と聞いたものなので、日常的にアクセスしていない人は基本的に含んでいない。
アスキー総合研究所のメディアとコンテンツに関する1万人調査「MCS 2011」で集計。昨年12月に実施した本調査時に比べて、この8月に実施した中間調査では、Twitter、Facebook、Google+の利用率が大きく伸びている。
これを見ると、mixiはほぼ横ばいになっている。最近はmixiを更新していないという人の話も聞くが、その一方で新たに利用し始めた人もいるのだろう。また、Twitterの利用率は昨年の17.5%から21.0%と、mixiに迫る値となった。性・年代別に見ても、男女の全世代において、まんべんなく伸びている。
しかしこの8カ月間に大きく伸びたのは、やはりFacebookだ。Facebookの利用率は、昨年末に3.6%だったのが、この8月には9.9%と、2.75倍にもなっている。また昨年段階では女性ユーザーの比率が比較的高かったのが、今回の調査では男性30代の利用が最も高くなっている。これは、ビジネスの中で「Facebookを使っておかなければ」というトレンドを感じ、使い始めた人が多いからなのだろう。
今年6月末にテストサービスを開始したGoogle+(参照記事)についても聞いたが、利用率は1.7%と事前に予想していた以上の数値となった。MCS 2011の調査は、実人口ではなくネット人口の1万分の1モデルを目指してアンケート回答者を構成しており、また10歳未満および65歳以上を含まない。そのため、この種の項目は実際の人口に対する利用率よりは若干上振れすることが多い。とはいえ日本でのGoogle+の利用者数は、8月の時点ですでに100万人を超えていたことが予想できる。
なお今回の調査では、ビジネスマン向けのSNSである「LinkedIn」(参照記事)についても聞いたが、利用率は0.3%と、クロス集計して分析できるような数にはならなかった。しかし、すでに一定数が利用を始めている手応えがあったと言ってよいだろう。
2002年に「FriendStar」というソーシャルメディアが始まって、2003年に「MySpace」、2004年にグーグルの「orkut」がスタート。日本では2004年に「GREE」と「mixi」が相次いで開始。2006年にTwitterが生まれ、「Facebook」も学生限定から一般向けとなる。これらは影響し合い、少しずつメカニズムを変えながら、たった今も進化しているところである。
ところで、わたしの場合、FacebookがGoogle+より冗談関係っぽくならないのは、仕事で名刺交換した人を片っ端から友だち承認するという、本来とは異なる使い方をしているからだろう。日本のソーシャルメディアも、まだまだ大きく変化していくのは間違いなさそうだ。 【遠藤諭、アスキー総合研究所】
遠藤 諭(えんどう さとし)
1956年、新潟県長岡市生まれ。株式会社アスキー・メディアワークス アスキー総合研究所 所長。1985年アスキー入社、1990年『月刊アスキー』編集長、同誌編集人などを経て、2008年より現職。著書に、『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書および電子書籍版)、『日本人がコンピュータを作った! 』、ITが経済に与える影響について述べた『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)など。各種の委員、審査員も務めるほか、2008年4月より東京MXテレビ「東京ITニュース」にコメンテーターとして出演中。
コンピュータ業界で長く仕事をしているが、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』の編集を手がけるなど、カルチャー全般に向けた視野を持つ。アスキー入社前の1982年には、『東京おとなクラブ』を創刊。岡崎京子、吾妻ひでお、中森明夫、石丸元章、米澤嘉博の各氏が参加、執筆している。「おたく」という言葉は、1983年頃に、東京おとなクラブの内部で使われ始めたものである。
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