「就活できない」就活生が急速に増加中:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
リクルートスーツ姿の就活生が、合同説明会などに列を成している映像をみたことありませんか。「就活は大変」という前に、「就活できない」就活生が、実は存在します。
就活ナビサイトに登録できない就活生も増えている
就活ナビサイトがオープンした直後には、アクセスが集中して、サーバーダウンが起きることが、もはや恒例行事になってしまいました。そのニュースだけを見ていると「ナビサイトに登録していない就活生はいないのではないか」という錯覚に陥ってしまいがちです。実際のところ、ほとんどの学生は就活時にはナビサイトに登録します(最終的には95%程度だといわれています)。しかし、ナビサイトに登録すらできない学生が増えているのも事実なのです。
先日、複数の関係者から同時に似たような話を聞かされたので、大学の現場ではそういうことが起きているのでしょう。ナビサイトなどは、通常自分からサイトにアクセスして登録するのが一般的ですが、それ以外に、ナビサイトの運営者たちが、大学でセミナー形式の使い方説明会などを開催して、そこで「仮登録」という形で、利用促進するケースも少なくありません。最近の就活を経験した読者なら、そういえば「登録カードを書いた」という人もいるでしょう。サイト運営者たちは、そのカードをベースに入力し、仮登録という形で処理をして、学生たちが就活を始める際に仮という状態から、実際の利用者になるのを待つのです。しかし、いつまで経っても仮登録のママ、という就活生も少なくない。就活をしないとか、ナビサイトは使わないと決めているなら何の問題もありません。けれども、現場ではもっと壮絶なことが起こっています。
「ナビサイトに仮登録が済んでいる、としても、実際にナビサイトを利用するために登録完了させる、その作業ができない学生が増えています」と、複数の関係者から聞かされました。そう、ナビサイト自体に登録することすらままならない学生が増えてきているのです。そういう就活生は、当然ナビサイトなどで仕事を探したり、資料請求の手続きをしたり、会社説明会の予約をすることはできません。ナビサイトを利用しない、ではなくて、ナビサイトが「使えない」のです。
こういう話を書いてしまうと「そういう仕組みがなくても、就職ができる世の中にするべきだ」という声が聞こえてきそうです。が、ナビサイトに自力で登録できないような学生を欲しがる企業がどこにあるのでしょう。やったらできるけど、面倒だからしないという学生だとしたら、なおさらでしょう。ナビサイトに登録することすら面倒がる学生を「ぜひウチにきて欲しい」という企業は少ないと思うのです。
就活ばかりに熱心に取り組んで、みんなが大変な苦労をしているという誤解から就活を問題視していても、大学生が就職できないことの抜本的な解決にはなりません。そう、そもそもの問題は「就活しないから就職できない」のですから。ニュースバリューのある絵に騙されていては危ないですよ、と新卒採用の周辺に身を置く一人として、ここでボソッとつぶやいてみるのです。
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