法人税控除で、私たちの給与は上がるのか:世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる(3/3 ページ)
景気対策に重点を置いている安倍政権だが、2013年度税制改正で企業の雇用増や給与引き上げを促す新たな減税制度を設ける方針を固めた。これにより私たちの給与ははたして上がるのだろうか。労働分配率と労働生産性の関係から見ていこう。
給与を上げるには自分の稼ぎを上げること
まとめると、日本の労働分配率は下がっては来ていますがもともと高かったので、今は先進諸国並みになったということです。一方、労働生産性はそれほど高くなくギリシャ並みです。分配率が低いなら「企業は儲かった額をもっと給与に反映すべき!」と言えますが、実際はそうではなくて生産性そのものが低いのですから「ひとりひとりがもっともうけましょう!」ということになります。
つまり、私たちが給与をもっともらうためには、会社に分配を変えてもらうのではなくて自分自身がもっと稼がないといけないということなのです。
皆さんは自分がいくら稼いで、そこからいくら給与をもらっているかを掴んでいますか? 経営者やもしくはそれに近い人、業績連動の年棒制で働いている人などは、いつも自分が会社にもたらした稼ぎを掴んでいると思います。そういう人は「給与を上げるには生産性を上げるしかない」と実感しているのではないでしょうか。
一方で、定期昇給の人や事務職の人、公務員や定額の派遣やパート・アルバイトの人などは「自分の稼ぎ」はなかなか意識できる環境ではないと思います。しかし基本的には、給与とは「自分がいくら稼ぎをもたらしているか」で決まるのです。
冒頭で挙げた法人税の雇用減税に話を戻すと、儲かってもいないのに法人税を減らすために給与を増やすという会社はほぼないでしょう。まずは会社が儲かること。それから、そのもうけを、節税になるのなら税金よりも社員の給与を上げようか、あるいは雇用を増やそうかとなるのが普通です。
自分の給与を上げようと思うなら減税の制度にかかわらず、自分が稼ぐ額を増やせばいいだけの話ということになるのです。人口減少社会にある日本では、みんなが生産性を上げないと国の稼ぎ(GDP)も増えません。ある意味わかりやすくていいですね、頑張りましょう!(川瀬太志)
※この記事は、誠ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」より転載しています。
誠ブログでは、ブログを執筆してくださるブロガーを募集中です。詳細については、「誠ブログとは?」「FAQ」をご覧下さい。
関連記事
- 年収、残業、職業と既婚率に関係あるの?
年収、残業、職業と既婚率に関係はあるのだろうか。25〜39歳のビジネスパーソンについて、転職サイト「DODA」が調べたところ……。 - 平均年収、最も高い業種は――DODA調べ
他人の給与は気になるものだが、実際のところどのくらいもらっているのだろうか。転職サイト「DODA(デューダ)」に登録しているビジネスパーソンのデータを基に、業種別の平均年収を調べた。 - 正社員の平均年収は442万円、5年前より16万円減少
インテリジェンスの調査によると、正社員の平均年収は前年比4万円減の442万円で、3年連続減少したことが分かった。最も平均年収が高い職種は「投資銀行業務」で、最も低いのは「医療事務」だった。 - 夫の年収、このくらいがちょうどいい――いくら?
うちょうどいいと思う夫の年収はいくらくらいですか? 結婚している女性に聞いたところ……。FQ JAPAN調べ。