なぜプロ野球選手は「タバコ」がやめられないのか?:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(4/4 ページ)
WBC3連覇に向けて2次ラウンド進出を決めた侍ジャパン。代表という重圧をどのように緩和しているのか。今大会で選手や首脳陣、そしてスタッフに取材して見ると、意外にも多かった答えが「タバコ」だった。
メジャーリーグには「タバコポリス」がいる
そして最も喫煙に厳しい国が米国。メジャーリーグ(MLB)も同様で「タバコは心肺機能を弱め、運動選手にとって大きなマイナスになる」として公の場における喫煙の禁止が徹底されている。WBC米国代表チームにも喫煙者はほとんどいない。
MLB下部組織のマイナーリーグではさらに厳しく、喫煙そのものが禁止されている。同リーグを管轄する機構側からは「タバコポリス」が派遣され、抜き打ちで選手のロッカーをチェック。そこでタバコを吸っているところを目撃されればもちろん、持っているだけでも罰金を徴収されてしまう。金額は1300ドル。マイナーの選手の平均給料は2週間で400ドルだから、これは高額だ。
しかも選手だけではなく、監督にも1000ドルの罰金が課せられる。日頃から「喫煙してはいけない」と厳しく指導する立場の指揮官も、しっかりと管理する責任が求められているということなのだろう。だから「『タバコポリス』に見つかって1000ドルも払わされてはたまらない」と監督が自ら選手のタバコの所持をチェックすることもある。
「米球界でタバコに対する考え方は年々厳しくなっています。最近ではメジャーの選手のみ認められていた『噛みタバコ(無煙タバコ)』にもメスが入ろうとしている。CDC(米疾病対策センター)から『無煙タバコは口や喉のガンを患う確率を高め、心臓へ悪影響を与える』と指摘されているからです。これにMLBも重大な関心を寄せていることから、メジャーの選手がグラウンドでクチャクチャと噛みタバコをやる光景が近い将来なくなるかもしれないですね」(メジャー関係者)
各国の球界における「タバコ事情」は三者三様。いずれにしても今後は世界的に高まる禁煙ムードと喫煙選手を抱える各国のチームが、どのようにタバコと向き合うかがテーマとなりそうだ。
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