日本人でも間違える敬語表現って?:日本人が気づいていないヘンな日本語(2/2 ページ)
日本では、たとえ相手が目下の人であっても常に感謝の気持ちを表して敬語を使うのが礼儀だ。その一方で「日本人でも完璧な敬語を使いこなしている人はめったにお目にかかれない」と、日本語教師の長尾氏は言う。第7回は、正しい敬語の使い方について勉強していこう。
敬語の「お」と「ご」の使い分け方
セイン:敬語をマスターするコツは、何かありますか?
長尾:基本的には使ってみて、失敗しながら慣れていくしかありません。セインさんがおっしゃっている英語の上達法と同じです。
でも、いくつかポイントはあります。そのルールを覚えておけば、少なくとも簡単なミスは防げますよ。
例えば「身内とモノには尊敬語を使わない」というルールがあります。よい例と悪い例をまとめてみましょう。
[尊敬語の間違った使い方]
- ○「兄は銀行に勤めています」
×「お兄様は銀行にお勤めです」 - ○「部長が戻ったらお返事させていただきます」
×「部長さんがお帰りになったら、お返事させていただきます」 - ○「ご注文の品はそろいましたでしょうか」
×「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」 - ○「そちらでは雨が降っていますか」
×「そちらでは雨が降っていらっしゃいますか」
それから「お」と「ご」の使い分けにも原則があります。
「お」は主として和語につきます。「お祝い」「お悔やみ」などです。
「ご」は主として漢語につきます。「ご挨拶」「ご出席」などです。ただし例外もあります。返事には「お」と「ご」の両方が使え、電話や誕生日は漢語ですが「お」がつきます。
外来語には「お」も「ご」もつきません。「おビール」というのは水商売で流行した間違った用法です。
セイン:なるほど。これで少し自信がつきました。
ちなみに、「自分」には敬語をつけないんですよね。よく外国人が「私がご説明します」なんて言っているのを耳にしますが……。
長尾:自分の行為であっても、それが相手に及ぶ場合は「お」や「ご」を使って敬意を表します。でも基本的には、自分に近い関係ほど敬語を使わない表現になり、反対に自分から関係が遠くなればなるほど、敬語の程度が高くなると覚えていくといいでしょう。だから、見知らぬ人には常に敬語です。
セイン:「失礼します。あなた様はどこのどなた様でいらっしゃいますか?」と言えばいいんですね(笑)。
(日本人が気づいていないヘンな日本語=終わり)
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