「いつかは転職したい」では転職できない理由:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
「いつかは転職したい」――長く働いているビジネスパーソンなら、1回くらいは考えたことがあると思います。しかし仕事柄転職相談を頻繁に受けるサカタさんは「それでは転職できない」といいます。転職市場において、もっとも大事な価値とは?
いつかは転職したいという人が転職を考える前にするべきこと
こういうことを書くと、「仕事ができる人は引く手数あまただし、能力が高いならいつでも転職できる」とか、「いま流行のソーシャル転職なら時期は関係ない」という声が聞こえてきそうです。
確かに、前者のように能力がずば抜けて高い人なら、転職サイトなどを使って次の仕事を探す必要はありません。自分で売り込みに行くこともできるでしょうし、辞めると意思表示した途端、たくさんのオファーが舞い込むはずです。けれども、そういう人は一握り。残念ですが、ほとんどの人はそのレベルにいないはずです。どうしても“自分の価値”が気になる人は、Facebookなどに「転職したいと自分が言ったら、誰か『ウチに来ないか』と誘ってくれるかしら」などと書いてみると、いろいろなことが赤裸々になるかもしれません。ただ、会社の人が見ているかもしれない以上、危険度は高いので、オススメはしませんが……。
また後者のソーシャル転職ですが「転職したいです」とソーシャルネットワーク上で手を挙げたとたんに「だったらウチへ!」と声がかかるのは、あくまで「縁」と「運」です。例えば「あ、彼は優秀だからウチに採用しよう」と「決定できるポジションにいる人」と、転職を希望する人がネットワークされていれば別ですが、そうでなければなかなか直接的にはつながらない。決定できない人が見ても、自社の採用担当者に相談した上で、求人があれば「応募してみて」と依頼する、なければそれまで、ということになります。友達などネットワークでつながっている人たちが「求人を探してくれる」かもしれませんが、それにしても「いま転職できる人」を募集している企業を見つけて紹介できるということであり、時間との戦いであることはやはりかわりないのです。
「いつかは転職したい」とぼんやり考えているくらいなら、まずは今の仕事に全力投球したほうがいい、と私は思います。少なくとも、いつかは転職したいと考えている人の転職市場に置ける価値は、今すぐ転職できるという人よりも落ちるわけですから。その人よりも仕事ができたり、経歴が素晴らしかったり、スキルがあっても、です。ダラダラと求人サイトを見たり、転職のためと称してスキルを磨いたりする暇があったら、“できること“をひとつでも多く増やして、転職したいと思い立って、即行動したときに「ウチに来て」と誘われる価値をたくさん備えておくほうが、実は得策なのですから。
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