コラム
労働法の“ひずみ”を解消する「7つの処方箋」とは:公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」(後編)(3/4 ページ)
前回のインタビューでは労働法のひずみが生じている背景などについて聞きました。今回は、新しい労働法の姿として、著者の倉重氏らが提唱している7つの処方箋について、詳しく伺います。
積極的な新陳代謝を促す仕組みを構築すべき
眞山:本書の処方箋の中で、退職金制度や退職所得に対しての税制優遇の見直しを提唱していますね。これが雇用流動化にどうつながっていくのか、その仕組みを説明してください。
倉重:ええ、そもそも退職金の制度は終身雇用を前提としています。そしてそれを促進するために、退職金は通常の給料よりも低い税率が適用されているし、勤続年数が長いほど優遇される仕組みになっています。今では終身雇用は崩壊しつつありますが、それでもほとんどの企業に退職金制度が残っているのは、この税制優遇の存在が大きいのだろうと思います。
つまり、今の税制では同じ仕事を同じ給料で続けても、途中で転職した人は税金が多くかかる。この仕組みが雇用流動化を妨げているのでしょう。
眞山:なるほど。少し話はそれますが、税制の優遇と言えば法人税率の引き下げも話題になっていますね。それについてはどのように考えていますか?
倉重:単に税率を下げるだけでは、給料アップや採用数の増加につながりません。せっかく法人税を引き下げるなら、例えば採用者の人数に応じて減税をするなど、採用を促す仕組みを取り入れて欲しいと思います。
突拍子もないように聞こえるかもしれませんが、現に今の日本企業では障害がある人の雇用が義務付けられていて、一定割合の雇用ができなかった場合には課徴金が課される仕組みになっています。結果として、障害がある人の労働市場は人手が足りない状態なんです。同様の仕組みを健常者に当てはめることも十分可能だと思います。
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