トヨタ、ハンドルの自動操舵で歩行者との衝突を回避するシステムを開発:2010年代半ばに導入
トヨタ自動車が、クルマの自動運転技術を利用したオートクルーズシステムと、歩行者対応型の衝突回避システムの発展形を発表した。2010年代半ばからの導入を予定している。
トヨタ自動車は10月11日、クルマの自動運転技術を利用した運転支援システムや、自動操舵によって歩行者との衝突を回避する安全技術の開発を発表した。いずれも2010年代半ばにも商品化する予定だ。
「オートメイテッド ハイウェイ ドライビングアシスト(AHDA)」と名付けられた技術は、高速道路や自動車専用道路において、先行車両と無線通信しながら追従走行する「通信利用レーダークルーズコントロール」と、道路の白線などをセンサーで検出して最適な走行ラインを選択する「レーントレースコントロール」から成る。
従来のクルーズコントロールは、自車からミリ波レーダーを前方車両に照射して車間距離を検知し、それに応じて走行速度を調整するシステムだが、通信利用レーダークルーズコントロールでは700メガヘルツ帯の車車間通信技術を用いて先行車の加減速情報を入手し、同時加減速を実現する。また、不必要な加減速を減らせることで燃費向上や渋滞解消が期待できるという。
また、レーントレースコントロールは、カメラやミリ波レーダーの高性能化や制御ソフトの高度化によって、適正な走行ラインを算出するもの。全車速域で、このラインに沿って走行できるようにステアリング、駆動力を制御する。
トヨタでは、いずれのシステムも「運転の主役であるドライバーの意思を尊重し、クルマを操る楽しみを損なうことなく、安全・安心な移動手段を提供する」としている。なお、AHDAは10月14日から始まる「第20回 ITS世界会議 東京2013」で発表するとともに、10月15日から首都高速道路で公道デモを実施する。
スペースがあれば自動操舵で歩行者を回避
昨今、各メーカーが衝突を回避するためのプリクラッシュブレーキシステム(PCS)を導入しているが、トヨタでも2012年から歩行者との衝突を回避するために自動ブレーキをかける歩行者対応PCSを導入した。この技術は2015年を目標に、普及価格帯での導入を予定している。
今回、あらたに開発されたのは、自動ブレーキだけでは止まりきれない速度や飛び出し事故に対応するために自動操舵で衝突回避を支援するシステムだ。前方監視センサーで検出した歩行者の動きを基に自車との衝突可能性を予測し、5段階で衝突を回避する。
まず、新機能の1つであるメーター上の光インジケーターによるドライバーへの注意喚起を行う。次いで、警報と警告表示によって回避操作を促すとともに、プリクラッシュブレーキアシスト、自動ブレーキが作動する。それだけでは回避できないと判断した場合に、もう1つの新機能である自動操舵が回避スペースがあれば作動する。
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