ディズニーの偽Twitterをフォローした14万人は何を考えている?:半径300メートルのIT
「東京ディズニーリゾート【公式】」を名乗る偽Twitterアカウントが登場しました。ポイントをためてチケットを手に入れようと呼びかけに14万人ものフォロワーが殺到しましたが……。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。
先日、ニセの「東京ディズニーリゾート公式Twitterアカウント」が登場し、話題になりました(参照記事)。本物のTwitterアカウント「東京ディズニーリゾートPR【公式】」からも警告ツイートが流れていましたので、お気づきになった人もいるかもしれません。
この問題、東京ディズニーリゾートの名前を勝手に使い、公式を名乗るということ自体も大きな問題なのですが、それ以上に気になったのは、このあからさまにニセモノであるアカウントに対して何と14万人ものフォロワーがいたことでしょう。
「ニセだろうがパクリだろうが関係ない」というユーザー層?
ここからは日ごろ、ディズニーファンをウオッチする筆者の私見です。ディズニーキャラアイコンのTwitterアカウントは年齢層が大変若く、中学生、高校生が活用している様子が目立ちます。
このコミュニティのフォロー傾向を見ると、多くが「この画像の場所が分かったらRT」「スプラッシュ・マウンテンで母の形見の指輪を……」といった、どこかで見たような小ネタやデマなど、思わずRTしてしまうような投稿が多いようです。
ここにアフィリエイトが含まれるURLをたまに混ぜれば、お小遣い稼ぎアカウントを作ることができるでしょう。ディズニーのような著名ブランドであれば簡単です。
以前、同様の事件として「ワロスbot」というものがありました(参照記事)。このアカウントが企業運営らしいことが分かると、多くのユーザーの違反報告によりアカウントが凍結されました。しかしすぐに新たなアカウントで復活し、そのアカウントも凍結されて……といったイタチごっこをリアルタイムで何度も見ました。興味深いのは、やっぱりその復活したアカウントでも、次から次へとフォロワーが増えていたことです。
例えば「迷惑メールに書かれたURLをクリックしますか?」なんて聞かれて、「はい」と答える人は少ないでしょう。しかし、何万通も送ったスパムメールのうち、1人でもクリックして購入にまで至れば彼らの「ビジネス」は成立するからこそ業者は迷惑メールを送り続けます。
似たような構造を持つこの事件ですが、ひょっとしたらフォロワーの多くは「面白いものが流れてくるから、スパムが混ざっていてもOK」と考えているのかもしれません。そんな投稿がRTされ続けていれば、業者も大喜びで投稿を続けていくでしょう。
「偽アカウント」「パクリツイート」の加害者は誰か
とはいえ、この問題で割を食う人がいます。それは本物のアカウントや、ツイートのパクられ元の人たちです。ブランドを横取りされたり、苦労して書いた記事を盗用されることは許されないこと。
ネット上では「キュレーション」という、きれいな言葉に置き換えられていますが、本来の意味のキュレーションとは、学芸員など専門的な知識を持つ人が、ある特定の視点から資料を分かりやすく構成し直すという高度なことであり、単に引用することだけではないはずです。
Twitterは東日本大震災の発生を境に、多くのユーザーが使うようになったと考えています。しかし、その使われ方は情報収集から娯楽ツールに変わってきたように思えます。SNSの使い方は千差万別で自由であれと思いますが、他者のコンテンツを盗むという行動は大問題です。
今回この偽アカウントをフォローしていた14万人、そしてワロスbotを次々フォローしていた人がいったいどういう人たちなのかは分かりません。でも、この事件の本当の加害者は、業者を助長させてしまったフォロワーたちなのかもしれません。
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