ネット選挙活動解禁、だからこそ覚えておきたい「RTのタイミング」:半径300メートルのIT
リツイートやシェアは、1クリックで簡単に情報を広められる便利な機能です。でも、「脊髄反射」的に行うと手痛いしっぺ返しを食らうかもしれません。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。
2013年4月19日、インターネット選挙運動解禁にかかわる法律が成立しました。これに伴いネット上での選挙活動が活発に行われることが予想されますが、その実体はなかなか把握しづらいというのが正直なところ。
例えば未成年が選挙活動を行ってはいけないことの延長で、「未成年が他人の選挙運動メッセージをSNSなどで広める」行為は法律違反で罰せられます。もっと具体的に表現すると、そのようなツイートをRTするだけでアウトなのです。
思い出したくないあのRTを教訓に
Twitterのリツイート(RT)は最も手軽なキュレーション手段になりました。1ボタンでフォロワーに伝えることができるので、気軽にRTしていることでしょう。でも、これを「脊髄反射」的に行うと手痛いしっぺ返しを食らうかもしれません。
筆者にも忘れられないRTミスがあります。ある日、自分のタイムラインにリツイートが回ってきました。「くたばれ、Facebook」――わずか2単語の淡泊なツイートでした。しかもアイコンは、直前に買収のニュースが出たInstagram。「この買収劇、中の人はそんな思いだったのだろうなあ」と、同情の意味を込めて思わずRTをタップしました。
ところがよく見てみるとアカウント名は「Instgram」。‘a’が抜けた単なる偽アカウントだったのです。そのツイートはすでに削除されていますし(当たり前です)、私もRTを削除しました。いまだに「単純なものに引っかかってしまった……」と悔やんでいます。
さて、この事件をインターネット上での選挙活動に置き換えてみましょう。妨害活動はもちろん虚偽事項公表罪や名誉毀損罪、侮辱罪などで罰せられるのは現行法においても同じです。なりすましや偽サイトを使った攻撃が行われる可能性もあります。
そのRT、ちょっと待った!
総務省が公開したガイドライン(参照リンク)の問27「本改正では、現行法に加え、どのような誹謗中傷・なりすまし対策を講じているか」には、このような一文が記載されています。
また、公職選挙法の問題に限らず、インターネット上の情報を鵜呑みにしない、正しくない情報を不用意に拡散しない等、情報リテラシー教育を今後さまざまな機会においてより一層進めるべきであろう。
ITリテラシー頼みの対策というのは若干心もとないのですが、方向性はこれしかありません。なりすまし、偽サイト、投稿ミスなどによる「不思議な投稿」は、3時間もすれば、それが本物なのか偽物なのかが分かることがほとんどでしょう。実際、第1回で取りあげた橋下市長の「プリキュア」ツイートも、15分程度ですぐに訂正されました。
ネット上の怪しい情報に踊らされない対策は、「そのRT、そのシェアは1時間待とう」ではないかと思います。センセーショナルな投稿を思わず広めたくなるのは分かります。それをグッとこらえ、正しい情報が出てきたときこそがRT/シェアの正しいタイミングではないかと思います。
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ハッキングされたり、パスワードを盗まれたり、なりすましをされたり――。そんなことに巻き込まれる確率は低いとはいえ、確率がゼロでない限り対策したほうがいいというのが筆者の考えだ。
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