若い自分のままで150歳まで生きられるとしたらどうしますか?:伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)
150歳まで生きられる人間はすでに存在している可能性が高い。そして20年以内に寿命は1000歳まで伸びる……かもしれない。寿命が伸びれば「老後」の考え方も変わってくる。
ある英国の著名な科学者が真剣にそんな主張をして物議を醸している。米国老年学会の研究員であるオーブリー・デグレイ博士だ。彼は現在、老化対策を工学的に取り組むSENS(参照リンク)という組織を設立して研究を続け、彼の理論を世界中に伝えている。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
デグレイ博士は、老化をもたらす体のダメージを修復することで人間の寿命は劇的に延びると言う。これまで「150歳まで生きる最初の人間はたぶんもうすでにこの世にいるだろう。その可能性は90%であると見ている」と言って世界から注目を浴びた。さらに「1000歳まで生きる最初の人間は今後20年以内にこの世に誕生するだろう」とも語っている。
こんな発言をすると、デグレイ博士というのは「トンデモ理論」を吹聴する疑似科学者なのではないかと疑われるかもしれない。だが彼は英国のケンブリッジ大学で博士号を獲得し、米国のハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)といった名だたる大学で講演を行うほどの有名科学者だ。母の死で相続した多額の遺産を研究に惜しみなくつぎ込み、世界中で講演活動などを行っている。
デグレイ博士の研究を支持する声は多い。オンライン決算サービス「PayPal」の共同設立者で元CEOのピーター・ティエルは、デグレイ博士の研究にこれまで少なくとも350万ドル(約3億5000万円)を提供している。ティエルはデグレイ博士への協力について、こう語っている。「科学における本当の飛躍的進歩は、人々が賛否ある、または怪し過ぎると考えるような研究部門に取り組む意思のある真剣な思想家によってなされるものだ」
先日、そんなデグレイ博士と話をする機会を得た。彼の考えに疑念を持ちつつも、人間が150歳、いや1000歳まで生きるなんてことが現実になれば、人の生き方のすべてがひっくり返ると思い、興味津々に彼の言葉に触れた。
関連記事
- 「草食なOTAKU」――日本男子は仕事で出世できないらしい
英ガーディアン誌が「なぜ日本人はセックスをしなくなったのか」という記事を公開した。この話題は欧米のネット上に瞬く間に広がった。日本の若者はどんな目で見られているのか? - 倒産寸前だった「LEGO」が世界2位のおもちゃ会社に返り咲いた理由
LEGOといえばブロック玩具の代名詞。子供のころに遊んだ読者も多いことだろう。だが、同社がほんの数年前に倒産目前まで追い込まれていたことは知られていない。そして、近年復活した理由も……。 - 夫を吸い尽くす「タガメ女」を駆除する米国の新しい恋愛のカタチ
サラリーマンの夫(カエル男)を搾取する専業主婦(タガメ女)を描いた書籍が売れているという。それは結婚というものに窮屈さを感じる日本人が増えているからか。では、米国はというと……。 - 米国の「メイド」問題で明らかになる外交官の不都合な真実
今、米国とインドの間で外交関係が急速に悪化している。きっかけは米当局がメイドを不当に扱ったインド人女性外交官を逮捕したこと。 - マンデラ追悼式で浮き彫りになる現代の人種差別
アパルトヘイトと戦ったネルソン・マンデラ元大統領の追悼式典では、さまざまな話題が提供された。いくつかの報道では、いまなお残る人種差別の現実が見え隠れする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.