葛西選手の銀メダルから考えた「広がる主役年齢」:博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(3/4 ページ)
ソチオリンピックで銀メダルを獲得した葛西選手。冬季五輪で、日本人選手最年長の記録になったのも記憶に新しいところ。このニュースをきっかけに、ここ数年の日本人メダリストのメダル獲得年齢を調べてみたところ……。
「正義の味方」も高齢化。「三匹」から見るドラマ主人公の変遷
この冬、話題になったドラマにテレビ東京系の『三匹のおっさん』があります。還暦を過ぎたかつての悪ガキ3人組が、町内の悪者を退治し、問題を解決しているというドラマです。「ドラマの主役も時代に合わせて高齢化するんだな」と感じましたが、これをかつて「三匹」という名を冠したドラマの主人公をされた役者さんの放送開始時の年齢比較から分析してみましょう。
「三匹のおっさん」
放送:2014年1月〜3月
三匹:北大路欣也 1943年2月生まれ 70歳
泉谷しげる 1948年5月生まれ 65歳
志賀廣太郎 1948年8月生まれ 65歳
「三匹が斬る!」
放送:1987年10月〜88年3月
三匹:高橋英樹 1944年2月生まれ 43歳
役所広司 1956年1月生まれ 31歳
春風亭小朝 1955年3月生まれ 32歳
「三匹の侍」
放送:1963年10月〜64年4月
三匹:丹波哲郎 1922年7月生まれ 41歳
平幹二郎 1933年11月生まれ 30歳
長門勇 1932年1月生まれ 31歳
(注:第2シリーズ1964年10月より 丹波哲郎→加藤剛 1938年2月生まれ 26歳)
いかがですか? これまでの「三匹」が40代前半から30代前半での出演だったのに対し、今回の「三匹」は3人ともアラセブ(四捨五入で70歳)です。ドラマの主人公が一気に高齢化したのは一目瞭然。ただし、『三匹のおっさん』は高齢者だけのドラマではありません。主人公の孫や子どもも重要な役どころで出演。70代から20代までの幅広い役者さんが、登場しているのです。これまでの「三匹」がどちらかというと主人公に近い年齢層中心の物語だったのに対して、この年齢幅の拡大はメダリストや紅白歌合戦の出場歌手と同じ傾向ではありませんか。
さらに面白い点があります。それぞれの「三匹」の放送の間が25年前後ということです。『三匹の侍』と『三匹が斬る!』が24年、『三匹のおっさん』までが26.5年。ほぼ4半世紀に1回、「三匹」が登場する、というわけです。そして今回登場した「三匹」は、時代劇ではなく、現代劇。今の時代にごく身近で起こる問題を解決する「正義の味方」。過去の「三匹」はそれぞれ高度経済成長時代とバブルの少し前の時代。現実には問題が見つけにくく、時代劇の中で描くことでドラマになった。それが、今は時代劇ではなく、現実の社会の中でのほうが、よほどたくさんの問題がある、そんなことを感じさせる設定の変化ですね。
関連記事
- “レジェンド”が所属する「土屋ホーム」は、どんな会社? ちょい先を分析した
世界中で「レジェンド」と呼ばれている葛西紀明選手がソチオリンピックでメダルを獲得しました。彼は「土屋ホーム」という会社のスキー部に所属していますが、この会社の業績はどうなっているのでしょうか。決算書などから分析しました。 - 2014年はコレが流行る!? 5つのブームを予測した
2014年がスタートしましたが、今年はどんなブームがやってくると思いますか? 生活総研の若手研究員からのヒアリングをもとに、5つのブームを予測してみました。 - 日本人の旅スタイルは「安・近・短から弾・参・縁」に――その意味とは
生活定点データによると、夏休みに旅行をしている人は減少しています。長期休暇を取得する人も増えていない中で、帰省する人が増加しています。日本人の旅行スタイルにどんな変化が起きているのでしょうか。 - 「じぇじぇじぇ」「倍返しだ!」――ドラマの決めゼリフがなぜ流行語に?
「じぇじぇじぇ」(あまちゃん)や「倍返しだ!」(半沢直樹)など、今年の流行語は久しぶりにドラマの決めゼリフから生まれています。これまでの流行語は一発ギャグが多かったのですが、なぜ今年はドラマから生まれたのでしょうか。 - “お母さん大好き!”日本人が増加中――お父さんは人気がない?
5月は第2週に母の日、6月にも第3週に父の日がありますが、日本人は親に対して、どのような考えをもっているのでしょうか。時系列調査「生活定点」を基に、これからの父親像と母親像をご紹介します。 - あなたはどっちを選びますか? 究極の2択
「あなたはAにしますか。Bにしますか」――こんな選択に迫られることがありますよね。ここで気になるのが、他人はどっちを選ぶかということ。博報堂生活総合研究所が行っている調査の結果から、日本人の志向の変化を見ていこう。 - 日本が誇れるものってナニ? この20年を振り返る
日本人はこの国のどんなところに誇りを感じてきたのだろうか。博報堂生活総合研究所が行っている調査データを基に、この20年間の特徴的な動きを紹介しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.