「買ってから選べるEC」――ロコンドが華々しい初年度の大失敗から学んだこと:これからの働き方、新時代のリーダー(3/3 ページ)
顔が見える、おもてなしのECとしてスタートしたロコンドだが、初年度は大きくつまずいた。何が悪かったのか? 熟考が足りなかったことに気付いた同社は、商売の本質に立ち戻った。
大切なことはすべてお客さんが教えてくれた
岡田: 今後も、お客さんの声を聞きながら、その「ほっこり」体験を追求していくわけですね。
田中: そうです。当初は、靴だけでしたが、その後、バッグの取り扱いを始め、今ではアパレルも扱っています。ロコンドのファンが増えてくるにつれて、「靴は年に1〜2回しか買わないし、バッグも持ってるし……。できれば洋服やアクセサリーも扱ってほしい」という声が増えてきたからです。じゃあ、やろうかということで、2013年4月にアパレルを始めました。
岡田: 「こうだ」と決めたことを固持するのではなく、お客さんの求めに柔軟に応じていく姿勢が今のロコンドらしさですね。
田中: おかげさまで、アパレルは1年経たないうちに月間売り上げの15%を占めるまで成長しました。単純に手を広げたわけではなく、お客さんが本当にほしいものが分からなければ、事前に聞いてしまえばいいというスタンスをとりました。
これから仕入れようと思っているブランドがあれば、必ずお客さんに「どんなブランドがほしいですか?」「このブランドのどのアイテムがほしいですか?」とアンケートをとっているのです。今、ロコンドの会員は50万人くらいいて、メールマガジンでアンケートを送っています。開封率は20〜30%ありますよ。
岡田: それは高い! 何か読ませるためのオウンドメディア的なコンテンツを送っているのですか?
田中: アンケートを実施することで、一緒にロコンドを作っていっている感覚になっているのかもしれません。コンテンツ面では、社員のコラムもたまにありますが、基本的なブランド案内が中心のメールマガジンですね。ファッション誌のように眺めるだけで楽しいというテイストにはこだわっていて、決してチラシにはならないようにしています。
岡田: もう少し、お客さんと一緒に作り上げていったロコンドの話を聞かせてください。
田中: そうですね。日本ではうまくいかないだろうと専門家にいわれた欧州ブランドがなぜロコンドで成功したのか、そして今考えている「ニコタマ」構想についてお話します。(後編に続く)
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