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今こそ、日本はロシアと関係を深めるべき――その理由は?:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
ウクライナの大統領選挙が終わり、親米派のポロシェンコ氏が勝利宣言をした。ウクライナ東部やクリミア半島の独立問題が解決するには、まだまだ時間がかかりそうだが、今こそ日本はロシアと仲良くするべきだと藤田氏は述べる。
日本はロシアと関係を深め、エネルギー問題を解決せよ
米国のアジアにおける存在感を、中ロが共同して邪魔するということにでもなれば、米国にとっては“悪夢”だ。ロシアから天然ガスの買い付けを、欧州がこれ以上増やさないとなれば、その行き先の1つは間違いなく中国になる。もう1つは日本になるだろう。なので、欧米がロシアを制裁しているうちに、日本はしっかりロシアとパイプをつないでおく必要があると思う。
ロシアが成長するためには、エネルギーを輸出しなければならないが、輸出するためには顧客が必要だ。最大の候補は中国だが、東アジアでの顧客が1国では、価格主導権を中国に奪われてしまうかもしれない。そこに登場するのが日本というわけである。
そうなると、ウクライナ危機への日本の対応は難しい問題になる。欧米と同じ制裁を行ってプーチン大統領の不興を買うよりも、やや“時間差”を設けたほうがいいかもしれない。今、重視すべきは北方領土問題(海洋資源の問題も含め)よりもエネルギー問題だ。そのために日ロで平和条約を結ぶことも検討していい。
プーチン大統領といかにうまくやるかは、日本のエネルギー戦略だけでなく、東アジアの平和と安定を大きく左右するのは間違いない。南シナ海での領有権争いでもロシアは大きな影響力を与え得るし、プーチン大統領は、長ければあと10年も政権に居座り続ける可能性があるのだ。
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