時の記念日に寄せて──「時刻」と「時間」、きちんと使い分けていますか?:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
"時刻"と言うべきところを"時間"と表記する事例が横行している。「メールを作成した時間は10分です」は正しいけれど「メールを送った時間は10時10分です」は間違い……のはず。時刻表ファンにとって、これが気になって仕方ない。
「時刻」と「24時間制」こだわるヤツは……
鉄道だけではなく、ビジネスにおいても24時間制の方が合理的だ。そして「時刻」と「時間」は明確に使い分けるべきだ。オンライン国語辞典『デジタル大辞典』『大辞林 第三版』ともに、「時間」の項目の一つめの意味を「時の長さ」「時刻と時刻の間」とし、次に「時の流れの中の、ある一点。時刻」と併記している。実に嘆かわしい。辞書が現状を追認してどうする。
……と、このように「時刻」と「24時間制」にこだわる人が身近にいたら、その人はきっと鉄道オタクである。気を付けよう。
……ではなくて、少なくとも「時刻」については、鉄道オタクの考え方が正しい。「時刻」は「時間」の意味のひとつではない。「時刻」は「時間」と同格か、それ以上の重みがある。時の流れの中の、かけがえのない一瞬である。列車の発車や到着だけではない。出生や臨終など、人生の大切な記憶も「時間」ではなく「時刻」として、心の中に文字通り「刻み」つけようではないか。
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