オーストラリアに住んで気付いた「スターバックスが撤退した理由」(2/2 ページ)
スターバックスがオーストラリアから撤退したという報道がありました。独自のコーヒー文化を持つオーストラリアで、スターバックスが根付かなかったのはなぜか? 在住経験から、スターバックスが撤退した理由を考えてみました。
撤退理由3. 地価高騰、物価上昇
7月現在、スターバックスは、シドニーとメルボルン、ゴールドコーストにあります。シドニーのあるニューサウスウェールズ州が9店舗と最も店舗数が多く、そのうち7店舗がシティ(繁華街)に集中しています。オーストラリアの物価は現在もゆるやかに上昇しており、特にシティの不動産価格は顕著に高騰しています。
例えば、賃貸マンションを借りる場合、6畳間の部屋と個別のバスとトイレ付きで、共同で利用するキッチンやベランダ、洗濯機があるような物件で、2週間で約8万円です。それも、壁が少しはがれているような、築年数がある程度経っているものがほとんどです。高層マンションタイプの物件になると、10人くらいで共同生活をしている家も珍しくありません。
これらのことから、オーストラリアの地元に根付くコーヒー文化に対し、スターバックスのブランディングは浸透しなかったのだと思います。さらに、今後の物価の上昇を想定すると価格競争でも難しいでしょう。新規顧客を獲得しながら店舗数を増やすことより、売却するほうが「経営的メリットが大きい」との判断になったのではないかと思います。
なんだかんだと書きましたが、スターバックスのコーヒーはおいしいので好きです。では、今日はこのへんで。(伊勢彩矢美)
※この記事は、誠ブログの「オーストラリアにいて気づいた スターバックスが撤退した理由」より転載、編集しています。
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