「ネットダフ屋を締め上げろ」──鉄道業界はなぜ無策なのか:杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)
運行が終了する寝台特急「トワイライトエクスプレス」をはじめ、人気列車の指定券や寝台券は入手しにくい。が、オークションサイトではこれらが高値で取引されている。こんな状態を放置してはいけない。
トワイライトエクスプレス「展望スイート」は正価の2.6倍
音楽業界がネットダフ屋の締め出しに尽力している。しかし、鉄道業界はあきれるほど無策だ。
ネットオークション国内最大手の「ヤフオク!」で出品情報を検索すると、寝台特急トワイライトエクスプレス(関連記事参照)の寝台券がゾロゾロ出てきた。誰もがあこがれる「展望スイート」の特急券+寝台券は、札幌発大阪行きで売価15万3000円となっていた。正価は5万8920円だから、なんと約2.6倍。差額の9万4080円からオークションサイトの手数料を引いた分は出品者のもうけだ。
トワイライトエクスプレスの札幌発大阪行きの場合、展望スイートは機関車の後ろになる。展望はあまり望めない。機関車とずっとお見合い状態だから、鉄道ファンにとってはうれしい。これが大阪発札幌行きであれば、ずっと展望が開ける。もっと高値で取り引きされるはずだ。こんな転売を月に10回ほど行えば、月収100万円も夢ではない。ダフ屋とはなんとおいしい商売だろう。
2014年7月31日現在、ヤフオク!でのトワイライトエクスプレス関連の出品は42件あった(筆者調べ)。出発日はバラバラだから、1列車あたりの出品は少ない。ただ、稀少なスイートやA寝台個室も多いので、オークションチケットの独占率は高めだ。ちなみに上野発札幌行きの寝台特急「カシオペア」の展望スイートは売価16万1000円だった。正価5万8560円の約2.75倍。差額は10万2440円である。カシオペアの出品は11件。北斗星は43件あった。
夏休みの時期でもあり「トワイライトエクスプレス」「カシオペア」「北斗星」とも、駅の窓口では満席が続いている。特にトワイライトエクスプレスは2015年3月の運行終了が決まっている(関連記事参照)から、夏休みが終わってもこのままの席を取りにくい状態が続くだろう。駅では買えないが、ネットオークションなら買える。ただし価格は数倍。こんな異常な事態が何年も続いているが、鉄道会社もオークションサイトも明確な対策は講じない。いったい何をやっているんだ。
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