「デル」の女性は9割以上が産休後に復帰――復帰支える“お互い様”の精神:制度と社風、どちらも必要(4/4 ページ)
女性の社会進出が遅れていると言われる日本で、出産後の女性の職場復帰率が「9割以上」という企業がある。女性が働き続けられる環境を作る秘けつは何か。今年でマネジメント職8年目となるデルの女性社員に聞いた。
WISEで“ロールモデル”が見つかる
業績には直結しないWISEの活動だが、女性社員には業務時間であっても参加を勧めているという。「優秀な人材が自分の能力をさらに伸ばすことは会社にとってもメリット。彼女らがビジネスパーソンとして成功すれば、自部門の数字にも返ってくる」というのが彼女の考えだ。
トレーニングを受ける方も真剣だ。2013年度の大きなテーマは「Grow Your Career With English」。業務で英語を使う機会が増えていることからこのテーマを選んだという。TOEICのスコアごとに分かれ、午前8時から8時45分まで特訓するクラスには、毎日通う女性社員も多くいたそうだ。
このように「女性が働き続けるマインドを持つ」ために必要だと小野氏が実感しているのが“ロールモデル”の存在だ。自分がどのような人間になりたいか、どのように働き、キャリアを積み重ねていけばいいか――こうした目標となるケースがないと、自分の未来について不安になることは想像がつくだろう。
彼女が育った営業部門には幸い女性の上司がおり、ロールモデルとなる人物がいたという。しかし、そもそも女性が少ない部署など、ロールモデルが存在しないケースも多い。WISEを始めてから、悩みを抱えていたり、意見がうまく伝えられない女性社員が多数いることに気が付いたという。WISEは全社的なプログラムなので、ネットワークやコミュニティ活動を通して情報を交換できる。他の部署にメンターができ、前向きになれた女性社員も数多く見てきたそうだ。
小野氏はDWEN参加を機に、勤務20年目にして初めて米国本社を訪れた。そのときに、自分と年齢がそう変わらない本社の幹部が、堂々としたスピーチをしているのを見て、ショックを受けたという。社会人になって、最初に入った会社からデルに転職し、結婚もした。マネジメント職として多くの経験もしてきた。しかし、成長の余地はまだまだある。
“小野さんは10年後も仕事をしていると思いますか?”――そう聞くと、迷うことなく「もちろん」と笑顔が返ってきた。
関連記事
- ワーキングマザーはお荷物か?――あなたの会社が「ホワイト企業」になる方法
第一子を出産した女性の6割が会社をやめる日本。最近はワーキングマザーも増えているが、どう扱っていいか分からない……という企業も多いのではないだろうか。本記事ではワーキングマザーをどう評価し、どう戦力にしていくかを考える。 - 就活生・転職者必読! 経産省女性室長に聞く、「ホワイト企業」の入り方
流行語にもなった「ブラック企業」に対し、非ブラック企業の中でもさらに優良な“ホワイト企業”を紹介した本が出版された。ホワイト企業とは何か。ホワイト企業を探すにはどうしたら? 経済産業省の坂本里和さんに聞いてみた。 - 来日中、FacebookのCOOが語る「女性の社会進出に必要な3つのこと」
Facebookのナンバー2、COOのシェリル・サンドバーグ氏が来日中だ。安倍首相と会談したり、著書『LEAN IN』の出版イベントに参加。記者会見で語った「女性の社会進出のために必要な3つこと」について、ほぼ全文を掲載する。 - 働く女性の9割がストレスを感じている――発散にはあまりお金を使わない
日常生活を送っていて、ストレスを感じている女性はどのくらいいるのだろうか。30代以上の女性に聞いた。ニッセン調べ。 - 女性が管理職に就く、「賛成」が9割――その理由は?
女性の管理職が増えていくことについて、働く男女はどのように受け止めているのだろうか。20〜50代のビジネスパーソンに聞いた。ユーキャン調べ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.