しょこたんが反対する、「ペットの殺処分」を劇的に減らす方法:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
タレントの中川翔子さんのTwitterが炎上している。捨て猫を保健所に連れていったという一般人のツイートを批判したのが発端だが、動物の殺処分は残酷なものだ。年間3万匹以上のペットが“殺される”日本だが、その背景にはペットビジネスの構造的な問題がある。
「売れ残った命」を考える
115万の犬猫が“虐殺”されていた40年前、テレビではちょうど「名犬ラッシー」が放送されていた。年代的には再放送しか見たことがないが、賢くてかわいらしいコリー犬の姿は印象的で、学校帰りに似た犬を見ると「あ、ラッシーだ」なんて騒いでいた。
テレビ番組で、かわいらしい小型犬の映像がそこかしこで流れている今、確かに「目の前で見れて、触れる商品」じゃないと売れないというのもうなずけるが、やはり「命」をガラスケースに陳列するという生体販売と、「とにかく産ませて売れなかったらサヨウナラ」みたいな手法は、何か引っかかる。
タバコの広告には、よく「あなたの健康を損なう恐れがあります」などと書いてある。国よっては真っ黒になった肺の写真が映ったドクロなどもある。
だったら、ペットショップもこういう表示をしたらどうだろう。「ここで売れ残った犬や猫は殺処分される恐れがあります」とドーンとどこかに。あと、できたらガス室で殺される様子の犬の写真も貼ってほしい。
もちろんペットショップにすべて問題があるとは言わない。ビジネスなんだから当然、売れ残りゼロを目指して様々な努力をしているだろう。ただ、返品をゼロにするなどは不可能だ。そのとき「売れ残った命」についてすべての業者が1匹1匹に責任をもって対応しているとは正直、信じられない。
どんなにペットビジネスの正当性を主張したところで、「命」をディスプレイで陳列販売するということが、「この命は自分がどうにでも好きにできる」と勘違いをする愚かな“愛好家”を生んでいる側面は否定できない。
そろそろ「売れ残った命」についてマジメに考えるべきではないか。
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