日本企業の弱点は何だ? 生き残るには「デジタルマーケティング」を知り、生かすべし:松岡功の時事日想(3/3 ページ)
日本の製造業は長らく「いいモノはつくるが、マーケティングが弱い」と言われ続けてきた。それを打開する絶好のチャンスが訪れている。デジタルマーケティングとは何か。それをどう考えるべきか。これからビジネスパーソンが考えるべきヒントを与えよう。
デジタルマーケティングは、「日本企業の弱点をカバー」する施策
クラウドを活用し、デジタルマーケティングの機能を統合化したプラットフォームには、オラクルのほか、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)、アドビシステムズ、セールスフォース・ドットコムがグローバルで展開する大規模ITベンダーとして名が挙がる。企業向けシステム最大手のIBMは「IBM Marketing Center」を、デザイナーやクリエイターから強い支持のあるアドビシステムズは「Adobe Marketing Cloud」を、CRM(顧客情報管理)をベースとしたクラウドサービス専業最大手のセールスフォース・ドットコムは「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」と呼ぶクラウド型マーケティングプラットフォームをそれぞれ提供している。
今後はIT業界での競争もさることながら、さまざまなマーケティング関連企業との合従連衡(がっしょうれんこう)の動きも活発化する。デジタルマーケティング市場がさらなる進化を遂げていくのは間違いない。
最後に、それを実際に使う一般ビジネスパーソンの視点で記しておきたいこと。それは、こうした新たなマーケティングツールを「日本の企業がどう活用していくか」だ。日本オラクルの杉原社長は、先の会見でこう締めくくった。
「日本経済の今後を考えると、これから少子高齢化が進む中で、いかに労働人口の生産性を向上させていくかが成長のカギを握る。生産性を向上させるには、例えば日本が得意とする“高品質なモノづくりを生かす”インテリジェントなマーケティングにもっと力を入れるべきではないか。しかもそれを国内だけでなくグローバルに発信していっていただきたい。私どもはそうした日本の企業を強力に支援していきたい」
筆者も同感だ。日本の製造業は長らく「いいモノはつくるが、マーケティングが弱い」と言われ続けてきた。そんな日本の企業にとって、デジタルマーケティングはその弱点をカバーする絶好のチャンスである。
もちろん、投資効果を見極める必要はある。ただ、デジタルマーケティングは、例えば前述した4社のプラットフォームにおいても、まずは小さく始めつつ、徐々に広げていくことができる。「デジタルマーケティングは、もはやマーケティングの一部ではない」──マーケティングそのものがデジタル化していくこと。この意味を、経営層やIT専任者はもちろんだが、一般業務部門のビジネスパーソンもしっかりと認識し、まずどう活用するかという考察を、そしてアクションを自身からも起こしてほしい。
関連キーワード
Oracle(オラクル) | マーケッター | Adobe Systems(アドビシステムズ) | Salesforce.com | ネット広告 | ビジネスパーソン | CMO | Adobe Marketing Cloud | IBM Marketing Center | 見込み客
関連記事
- 松岡功の時事日想:バックナンバー一覧
- デジタル時代のマーケッターに問う:デジタルマーケッターよ、デジタル“だけ”マーケティングをしていないか?
6月13日に開催されたイベント「Adobe Digital Marketing Forum」において、「そもそもデジタルマーケティングとは何なのか」というテーマでパネルディスカッションが行われた。 - デジタルマーケッターよ、自社がどうやって稼いでいるか知っているか?
マーケティングは長嶋監督の「カンピュータ」から野村監督の「ID野球」に変わるべきだ。日本のインターネット広告業界を常に一歩早く歩んできた横山隆治氏に、デジタルマーケッターのあるべき姿を聞いた。 - 「モバイル広告大賞に見るデジタルマーケティング最前線」
- 「BYOD」を進めるにあたり、まず考えなければならないこと
すでにある私物デバイスを業務でも使う利用形態が広がってきている。が、その広がりはまだゆるやかで、そのルールもきちんと整備されてはいないのが現状だ。大きく広がる可能性はあるか。興味深いリポートを見つけたので、それを取り上げながら考察する。 - 第二のベネッセ事件を起こさないために──情報セキュリティ、10のポイント
IT社会の進展でますます深刻な問題となっている「情報セキュリティ」の脅威。複雑化するセキュリティ脅威にはどんなものがあるか、最近、注目されている脅威は何か。専門家だけでなく、ビジネスパーソンもきちんと認識しておくべき「2014年版 情報セキュリティの10大脅威」を紹介する。 - なるほどこんな発想で──ビッグデータとIoTを生かす「5つのヒント」
ビッグデータを活用してビジネスに生かそうという動きが活発化している。その中には、なるほどこんな発想で、と想像しやすいものもある。筆者が最近印象に残ったビッグデータ活用の事例やサービスを紹介したい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.