開始から10カ月で購読者数1万人突破――ホリエモンのメールマガジン:なぜ人は“動く”のか(2/2 ページ)
「1万人コンサート」「1万人動員!」など、大人数を象徴する数字として頻繁に登場する1万人。では、実際に1万人を動かすにはどのような条件を満たす必要があるのだろうか? 今回は、ホリエモンこと堀江貴文氏の有料メールマガジンを例に考えます。
Q:動かしたい対象が「1000人」から「1万人」に増えると、何が変わる?
本田: 事例としてはどうしてもインターネットツールが目立ちますよね。しかも単なる拡散手法というだけでなく、「ネットだからこそ動いた」という事例が目につきます。
田端: 有料メルマガもそうですよ。読まないとそこはかとない罪悪感が……。
本田: お金を払ってるのは田端さんじゃないですか(笑)。
田端: Webコンテンツに対しては「読みたい気分にさせないお前が悪い」と思うのに、なぜかメールマガジンだと「せっかく送ってもらったのに、読んでなくてごめんなさい」と思ったりします。
本田: なにも謝らなくても(笑)。でも、メルマガって単にアクセスするだけのコンテンツじゃなく、読者1人ひとりが発行人と関係を取り結んだような気持ちになるのかもしれないなあ。
田端: だいたい、メルマガなんてその気になったらコピーし放題だし、転送だっていくらでもできる。でも、そうはしない。DRM(※2)だなんだのと言って必死にガードしている出版業界の人はこの状況をどう思ってるんだろう。
本田: そこまで知らないんじゃないですか。
田端: あー! そうだ。販促ツールとしての誰も読んでないメルマガとの区別がついているかすら怪しい……。
本田: メールアドレスを持っている人が全員購買者になりうるというのは、ものすごい強みのはずなんですけどね。電子書籍のように、携帯やスマートフォン、PCなど対応機種の壁もない。
田端: 「壁」というキーワードでいうと、メルマガってときどき壁を超えるんですよ。堀江さんの有料メルマガの人気コンテンツのひとつに、読者が投げかけた質問につぎつぎと堀江さんが答えていくコーナーがあるんです。
本田: インタラクティブ! 昔のラジオであった、リスナーのハガキやFAXのコーナーみたい。
田端: 掲載されているのは赤の他人なのに、なぜか親近感を覚えちゃう。堀江さんって読者からは遠い存在じゃないですか。最近はいろんなイベントにも出てるけど、物言いはストレートだし頭はキレるし、元上場企業の社長だし、塀の向こうにもいたことがある。
本田: 多面的に遠い(笑)。
田端: しかも、気乗りのしない質問にはまともに応対しない印象があるじゃないですか。なのに、メルマガでは、どんなくだらない質問にも答えてくれる。
本田: 知り合いが投稿しているのを見つけると、ちょっとうれしい(笑)。あ、あと同じメルマガの読者だということが分かると、なんとなく連帯感を感じちゃう。
田端: ありますね! 同じメルマガを購読している人に出会ったら、握手を求めちゃいそうです。
本田: 自発的に参加しているからこそ得られる共感ですよね。
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