失態続きのシークレットサービスから見えてくる、米国のもう1つの“顔”:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
米国の大統領警護を担当するシークレットサービスの長官が辞任した。この辞任はシークレットサービスの失態によるものだが、こうした失態は今に始まったことではなく、米国人の特徴を浮き彫りにしているようにも思える。
「パーティー好きで騒がしく、女好きでケチ」
かつてシークレットサービスの長官を務めたマーク・サリバン氏は、「シークレットサービスのエージェントにとって最も重要な資質は品性だ」と語っている。シークレットサービスの品格とは、プロフェッショナリズムと品性、そして職務に対する責任感ということだろうが、これはまさに米国が対外的に伝えたい米国人の美徳である。
だが、実態はそんなものではないのだろう。実際は「パーティー好きで騒がしく、女好きでケチ」という米国人男性のもう1つの「顔」が表に出ただけに過ぎない。そんな現実は、米国の政界を見ても明らかだ。
ここ数年だけを見ても、高級売春宿で散財して職を辞した元州知事、末期がんと戦う妻を全面に出し、大統領候補戦を戦っていたイケメン候補が選挙スタッフとの間に隠し子を作っていたりと、そんなスキャンダルは枚挙に暇がない。
自分の裸の写真を女性にメールで送信していて大スキャンダルになった有力議会議員や、愛人を追いかけてアルゼンチンに単身渡航して行方不明になったと大騒ぎになった知事もいた。女性の人権やモラルに人一倍うるさい米国人の、それも政治家がやることとは信じがたい。
シークレットサービスのスキャンダルに話を戻すと、数々のスキャンダルの一方で、1963年に起きた「ケネディ大統領暗殺事件」以降、長期間にわたって、世界一敵の多い米国指導者が暗殺されるという事件は起きていない。米国以外でも、銃の所持が一般市民にも許されている国があることを考えれば、本当の“大失態”がほとんどないことは評価すべきなのかもしれない。
だが、エージェントの中には大事な職務を前にしても暴飲やパーティー、売春をやめられず、売春婦への支払いさえケチる者が少なくないこともまた事実だ。それが米国人のもう1つの姿でもあると、知っておいて損はないだろう。
編集部からのおしらせ
「伊吹太歩の時事日想」は筆者の都合で次回以降、休載となります。
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