「年相応」という言葉が、日本の企業を硬直化させているのかもしれない:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/2 ページ)
野村証券が来年度から新設する、新たな個人向け営業専門職が話題です。「最長70歳まで雇用、年を取らないとできない仕事の評価を加味する」というこの制度のように、企業は新しい「年相応」の仕組みを考えなくてはならないところに来ているのではないでしょうか。
著者プロフィール:サカタカツミ
クリエイティブディレクター。就活や転職関連のサービスをプロデュースしたり、このような連載をしていたりする関係で、そちら方面のプロフェッショナルと思われがちだが、実は事業そのものやサービス、マーケティング、コミュニケーションの仕組みなどを開発するのが本来の仕事。
直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」や「MakersHub」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』。この連載についても、個人的に書いているブログでサブノート的なエントリーを書く予定。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
先日、とあるところで講演をするために資料を作成していました。そこで、この調査のデータを引用しようと見ていたところ、回答者の属性が以下のようになっていて、驚いてしまいました。
えっ。(絶句)
回答者が歳を取りすぎなのではないだろうか。35歳未満が2割を切っているなんて! リンク先を見てもらえば分かりますが、この調査は「日本のIT技術者」向けに「挑戦したいこと、わくわくした瞬間、興味がある次世代技術」について質問する内容になっています。気になったので、この調査を実施した担当編集者にメッセージを送って、どうしてこうなってしまったのかと、問い合わせてみました。
担当編集者がいろいろ教えてくれた回答をそのままここで書くことはしませんが(ある意味企業秘密なので)、調査方法によってこういう偏りが出てしまう可能性があるとのこと。しかも、その編集者に指摘されて、さらに驚くべきことに気がつきました。それが以下のデータです。
……うーむ。思わずうなってしまいました。
「歳をとっている=管理職になれる」、わけでは当然ないけれど
先の調査の年齢属性を改めて見てみましょう。企業において「若手」と呼ばれる層を30歳未満だと仮定したとして、この調査の中では8.59%でした。そして、ごく一般的に管理職(=課長クラス以上)と呼ばれる仕事に就いているだろうと想定される年齢層を40歳以上だと仮定するならば、62.56%も存在します。
が、実際、管理職になっているという人はとても少ない。課長クラス以上に経営者、役員の数字を加えても24.5%です。
仕事の種類がある種のスペシャリストであること、管理職というキャリアパスに馴染まないという前提を置き、なおかつ、特定のジャンルの読者向けのWebメディアの調査であるとしても、です。年齢からイメージできる、正しく言うと、今までの「日本型年功序列的社会」で想像できた感覚と、実際の現場での役職には、大きな乖離が起きているのかもしれないと、イメージさせるデータになっています。
このグラフを眺めながら、「『年相応』という言葉が定義する内容も、大きく変わらないといけない時代になっているのだなぁ」とぼんやり思っていたところ、別のとあるプロジェクトで、議論している最中に示されたグラフを見て、さらに考えさせられたのです。
このグラフそのものは2012年のもので少し古いですし、皆さんも何度も繰り返し目にしているでしょうから、それほど驚きはないかもしれません。日本という国が高齢化しているという状態を、如実に表しています。
しかしこれを、働く現場のこと、つまり日々の自分たちのことに置き換えて考えてみると、意外に深刻な事態、もしくは考え方を変える必要があることに気がつくはずです。
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