道案内が下手な人は、「部下への指示がうまくできない人」かもしれない:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/2 ページ)
先日引っ越しをしたサカタさん。新しい事務所にやってきた人は「この場所は分かりやすいですね」という人と「迷ってしまって大変だった」という人と真っ二つ。なぜ反応が分かれたのかというと……。
先日、事務所を引っ越しました。都内の有名スポット近くへの移動だったために、関係者へのお知らせもとても簡単、地図などを用意することなく、利用可能な最寄りの駅と住所を告知するだけで済ませました。簡便にというか、要は手抜きです。
その後、複数回に渡って事務所開きを開催したのですが、たくさんいらっしゃってくださったお客さまの多くは「この場所は分かりやすい」「とても便利な場所にある」「駅から近くてビックリした」という反応。「近くまで来ているのですが、迷ってしまいました」という問い合わせの電話やメッセージが来るだろうと思っていたのですが、迷ったと自己申告してきたのは、わずか4%(サカタ調べ)でした。
「なるほど、我ながら良い場所に事務所を構えられたようだ、良かった」と自画自賛していた矢先、ある集まりがありました(わたしの事務所では、いろいろなテーマで定期的に小さな会を開催しています)。その参加者が口々に「この場所は分かりにくかった」「迷ってしまって大変だった」と言うのです。
今までとまったく違う反応に驚いたわたしは、理由を考えてみました。そしてこれが、ビシネスの現場で起きている“ある問題”と、とても類似していることに気がついたのです。ということで、今日は「自分が分かっているからといって、相手も分かるわけではない」という話について少しだけ。
細かく説明しすぎると、分かりやすいことが分かりにくくなる
わたしの事務所を「分かりやすい」といったお客さまへの案内は、前述した通りとても簡素なものでした。しかし「分かりにくい」とこぼしたお客さまへの案内は、わたしとは別の人がとても丁寧に行ったものでした。最寄りの駅からの道順はもちろん、誰もが知っているだろうと想定される目印になる場所とわたしの事務所の位置関係など、細かく説明してありました。そのために、お客さまが混乱してしまったのです。
まずは「情報の質と量」の問題です。丁寧に分かりやすく説明しようと、たくさんの情報を提供したのは良かったのですが、その情報の中には「解釈のしようによっては、勘違いしてしまう」ものが含まれていました。例えば「ある建物の門の左側にあるビル」だと説明したとします。もう気付いた人もいるかもしれません。この説明では「その建物にたくさん門がある場合」は、左側にあるビルも複数存在することになります。結果として「どれだ!?」と混乱してしまう。門の名前を書いたとしても、その門が本当に誰もが知っている有名なものでなければ、結局迷わせてしまいます。
もう一つは情報の量です。丁寧に書いてある分だけ、情報の信頼度は高い印象を与えがちです。しかも「書いてある通りに歩けば到着する」体裁ならなおさらです。必要十分な量の情報に見えてしまった瞬間、多くの人は自分で改めて調べ直すことはしませんから(慎重な人は調べ直すでしょうが、それはまた別の話としてください)用意された十分に見える情報を手掛かりに、さまよい続けるということになったのです。
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