亡くなった夫の預金、すぐに下ろせないってホント?:マネーの達人(2/2 ページ)
夫が亡くなったとき、妻が通帳や印鑑などを持っていても預金は引き出せません。故人の預金を下ろすにはいろいろと手続きが必要です。家族のためにも、元気なうちに準備をしておくことをおすすめします。
3つの予防策
1. 通帳は1つにまとめる
当然のことながら、1つの金融機関であれば1回で手続きが済みます。ただし、ペイオフ(1000万円以上の預金は保護されない)などの問題もあるので、1000万円以上の預金がある人は注意しましょう。残高が少額の口座は今すぐ全額下ろして、1つの口座にまとめることをおすすめします。
2. 妻名義の口座を用意しておく
預金が下ろせないと、葬式代も払えないことがあります。そのためにも、妻名義の口座を用意しておきましょう。
現行の税法では、毎年110万円までなら贈与税は非課税です。何年かに分けて贈与を受ければ、税金を払わないで済みます。その際は「贈与契約書」など、証拠書類の作成も忘れずに。
あえて、110万円以上の贈与を受けて贈与税の申告をし、その申告書を贈与を受けた証拠とする場合もあります。
3. 「遺言代用信託」の利用
テレビのCMなどでもなじみがあるかもしれませんが、信託銀行が用意している「遺言代用信託」を利用する方法もあります。
これは、事前に夫が受取人(妻)を指定しておきます。万が一のときは、妻が必要書類を持っていけば、すぐにお金を受け取ることができるというものです。必要な書類は除籍謄本や通帳、妻の印鑑証明などで、これも銀行によって異なるので確認しておきましょう。
このような信託などを利用すれば、万が一のときも慌てないですみます。元気なうちにこそ、できるところから準備を進めることが必要です。(中森学)
著者プロフィール:
中森学
商工会議所で10年間勤務後、独立、シニア世代の資産設計や遺言書作成などの相続関係を主業務としております。また基礎から分かりやすく経済問題を解説します。
保有資格:行政書士、2級FP技能士、貸金業務取扱主任者、マンション管理士、管理業務主任者
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