「出世」するのは誰? “試す”ことができる人:銀座で学んだこと(2/3 ページ)
出世する人というのは、何にでも興味を持って知ろう、試そうとします。富士山の裾が広いのと同じように、志を高くすると人としての裾が広がり、何に対しても対応できる人になれるのです。
しばらくするとAさんが「優希ママはこの中で誰が一番出世できると思う?」と言いながら、にんまりと笑いました。さすがにAさんがわざわざクラブに連れてくるだけあって、皆さん清潔でスマートな雰囲気です。
私はAさんの一番近くに座っていた男性に目を向けながら、「○○商社さんの雰囲気を考えると……難しい質問ですが」と答えました。
「やっぱりね。じゃあ大穴は誰かな」と、おっしゃるので私は首を捻りました。
Aさんの一番近い席に座っていたBさんは、見るからに出世街道を進んでいるような身なりをされていて、女の子と休日の過ごし方について話しています。Cさんは水割りを飲みながら趣味のテニスと旅行の話を、Dさんも同じくお酒を飲みながら釣りの話をされていたのですが、Eさんだけは女の子に化粧品の話を聞いています。
「Eさんじゃありませんか?」と小声で返事をすると、Aさんは満面の笑みを浮かべてその理由を尋ねてこられました。
「Eさんだけがさっきから女の子の話をじっと聞いているんです。さっきは女性誌や洋服ブランドの話、今はお化粧品。普通の男性ならあんなに熱心には聞き入らないかと思いますので、何かのときに使う引き出し用かと思って」
すると、Aさんはこのようにおっしゃいました。
「既に選ばれた人間がさらに飛躍しようと思ったとき、一番大事なのは“志が高い”ということ。富士山は標高が高いから裾が広いだろう? 出世もあれと同じで、志が高いと裾が広がる。裾が広いということは、一見何の関係もないようなことでも吸収できる。つまり、何に対しても対応能力がある人間だと思うんだ。ママが言ったE君は、他の3人に比べて圧倒的に秀吉型というか、ある意味“人たらし”でね、会食パーティなんてしたら最も印象に残る奴だ。この前も『そのドレス、〇〇ブランドの最新作ですね。今、日本でそれを着ているのは●●夫人だけですよ。いやあ、すごいなあ』なんて、さらっと某会社の社長夫人に言えてしまうからね」
これを聞いて、Eさんを「ゴマスリのイヤな奴」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、ゴマスリに慣れている人には、小手先の技は通用しません。むしろ、印象が悪くなる場合がほとんどです。
では、どうしたらゴマスリでなくなるのか? それは、ただの“聞いた”“見た”だけでなく、実際に“試す”という行動があったかどうかが、大きな分かれ目になると思います。
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