Mobile:NEWS 2003年7月7日 09:03 PM 更新

MPEG-4の携帯動画、相互にやり取りする方法

一口にMPEG-4といっても、ファイルフォーマットやコーデックによって仕組みが異なるため、そのまま相互にやり取るできるわけではない。ドコモやau、J-フォンの動画の仕組みとやり取りする方法を検証した。

 MPEG-4を中心とした携帯動画は複雑な世界だ──。というのを前回の記事でお伝えした(6月23日の記事参照)。同じ「MPEG-4対応」だからといって再生できると思ったら大間違い。そこで、何をどうすればみんなでやりとりできるようになるのかを検証してみた。結論から言うと、やはり「最大公約数はない」が、ちょっとした工夫でなんとかやりとりできる。

PCでの再生手段が豊富なFOMAのiモーション

 まずは、FOMAのiモーションメールで送られるデータを再生する方法から。このフォーマットは基本的には3GPP形式で、動画コーデック(用語参照)がMPEG-4、音声コーデックがAMRということになる。このファイル形式であれば、FOMAはもちろん、J-フォンの3GPP(用語参照)サポート端末「J-SH53」でも問題なく再生できる。

 PCの場合は、QuickTimeをインストールすれば、QuickTime Playerを使って再生できる。ただし、QuickTime 6.3とQuickTime 3GPPコンポーネントが必要となる。

 Macintoshではほかに方法がないが、Windowsで再生する手段としては、フィリップスのPlatform4 PC Player、パケットビデオのPV Player(後述のPV Authorに付属)などがある。これらでも問題なく再生できた。

データ作成にはQuickTimeがおすすめ

 では、FOMA端末で受け取れるデータを作成するにはどうしたらいいのか。FOMAやJ-SH53で作成した3GPファイルは基本的に問題なし。問題はデータをPCで作成する場合だ。

 一番のおすすめはアップルコンピュータのQuickTimeを活用すること(やはり6.3+3GPPコンポーネントが必要)。有料の「QuickTime Pro」にアップグレードすると、QuickTime Playerに編集や書き出しの機能が追加される。これを活用するのがいちばん安上がりだが、「必ずQuickTimeをProバージョンにアップグレードしなければならない」というわけではない。「Adobe Premiere」などQuickTime対応のビデオ編集ソフトがあれば、、QuickTimeが持つ書き出し機能を呼び出せるため、それを活用すればいい。QuickTime対応アプリケーションを使えば、QuickTimeムービーだけでなく、多くのAVIファイルやMPEGファイルなどを変換できるので、広い範囲の素材を活用できる。

 手順としては、「書き出し」(アプリケーションによって名称は異なるが)で「ムービーから3GPP」を選択し、現れた「オプション」ボタンをクリックする。するとこのようなダイアログが表示される。


 選択できるフォーマットは「Mobile MPEG-4」「3GPP 4.3」「3GPP 5.1」の3種類。どれを選択しても再生できるようだ。動画コーデックは「MPEG-4」「H.263」のどちらを選んでも大丈夫だが、音声コーデックは「スピーチ」(AMR)を選択する。

 もう一つ気をつけなければならないのが、ファイルの容量である。iモーションメールの場合、「100Kバイト」という制限があるので、長いムービーを送りたければ、画面サイズを小さくして、ビットレートやフレーム数も思いっきり小さくして、クオリティを下げる必要があるだろう。

 Windowsユーザーであれば、パケットビデオのPV Authorというツールがある。これはAVIやMPEG-1ファイルを元に3GPP形式に変換するソフトウェア。こちらは単に変換することだけが目的となっている。このツールを扱う場合の注意点は、オーディオコーデックとしてGSM_AMRを選択することと、Video Sizeを176×144ピクセル未満に設定することである。

 また、「Codec SettingsにおいてCBR(Constant Bit Rate)の代わりにVBR(Variable Bit Rate)を選ぶとQuickTimeで再生する場合、やや挙動不審となる(実際にはアラートが表示されるだけで、問題はなさそうなのだが……)。

 最も大事なのは、iモーションメールはメールへの画像添付ではなく、どこかのサイトにアップロードしたファイルのリンクを記述する形にしなければならないということだ。

「MPEG」を選択すればiモーション同様、多彩な再生環境〜J-フォンのJ-SH53

 J-SH53の動画撮影は、MPEGとNancy(用語参照)の2種類が選択できる(4月24日の記事参照)。MPEGを選べば3GPP準拠の動画となり、FOMA端末やQuickTimeをはじめとするPC上のさまざまなツールで再生できる。このあたりの互換性は、iモーションと同じ。Nancyを選択した場合はNancy Playerをダウンロードして再生する。

 J-SH53にコンテンツを配信する場合も、FOMAとほぼ同じと考えていいだろう。音声コーデックとしてはMPEG-4オーディオに対応していないので、AMRを選択する必要があるが(MPEG-4オーディオを選択すると音声が再生されない)、動画コーデックはMPEG-4、H.263のどちらでもいい。

 ただし、テキストトラックを入れたファイルは「不正」とみなされてしまうので、QuickTimeでデータを作る際、テキストトラックの挿入は避けなければならない。このテキスト機能はあくまでもiモーションのためのものと考える必要があるだろう。

 J-フォンのスーパーメールの送受信は、3GPPは30Kバイト、Nancyは15Kバイトというのが上限だ。

AMCは実はMPEG-4フォーマット〜auのezmovie

 auが扱う動画フォーマット「AMC」は、実はMPEG-4ファイルフォーマットを活用したものである。しかしただのMPEG-4ではなく、いろいろな細工が施されているようだ。

 au端末で撮影したAMCファイルを再生する場合、「基本的には」au端末でしか再生できない。これは拡張子が独自のものであることと、音声コーデックとして、ほかのデバイスではサポートされていないQCELPを使っているためである。しかし、撮影を消音モードで行い、撮影したファイルの拡張子をPCなどで「.3gp」に変更してしまえば、FOMA、J-フォンも再生は可能だ。

 PCの場合、音声まで含めて再生できるのは、KDDIの「ezmovieプレーヤ」(後述のezmovie作成ソフトに付属)のみ。しかし、拡張子を「.MP4」もしくは「.3GP」に変更すれば、Platform 4 PlayerとPV Playerで、音声なしの動画部分を再生できる。

 QuickTime Playerでezmovieファイルを開こうすると、その時点で「このファイルは再生できない」と判断され再生できない。ただし、消音モードで作成したものであれば再生が可能だ。

 auデバイス向けの動画データ作成だが、これがまた難しい。単にMPEG-4ファイルの拡張子を変更した程度では不正なデータと判断されてしまうのだ。

 そのため、KDDIの「ezmovie作成ソフト」に付属のezmovieコンバータを使うか、「ezmovie作成ソフトLite for Adobe Premiere」(Adobe Premiere用のプラグイン)を使ってAMCにコンバートしなければならない。

 このezmovieコンバータ、実はQuickTimeベースで動くアプリケーションで、3GPPファイルも読めてしまうのだ。例えば「J-フォン端末から送られた3GPPファイルをAMC形式にコンバートしてau端末に送る」というのもできる。この場合、再圧縮になるので画質は落ちるが、そこは仕方ないだろう。

 この作成ソフトには、「ezmovieテロッパ」が付属し、テキストを動画にシンクロさせられる。ezmovie同士でのやりとりにしか使えないが、FOMAのテキストと同じような効果が得られる。なお、添付ファイルの上限は100Kバイトだ。

仕様の統一に期待

 検証の結果、いったんPCを経由させれば、なんとか動画部分だけはやりとりできるということが分かったが、そのためには面倒な作業が発生してしまう。やはり「標準フォーマット」の存在が重要なことを痛感させられる。今のところ、「業界標準」の最有力候補は3GPP形式ということになりそうだ。

 なお、EnvivioのMPEG-4用プラグイン「Envivio TV」やReal One Playerの3GPPプラグインなども試してみたのだが、ダメだった(RealのプラグインはH.263コンテンツに対しては有効であった)。携帯電話のみならず、MPEG-4の互換性の世界はまだまだ奥深い。



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[姉歯 康, ITmedia]

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