WiMAXとWi-Fi――モバイルの通信インフラが理想に近づいた:ITmediaスタッフが選ぶ、2009年の“注目ケータイ&トピック”(ライター坪山編)(2/2 ページ)
2009年はUQコミュニケーションズがWiMAXサービスを開始したことと、ケータイ対応の無線LAN製品が増えたことで、モバイル環境が一変した。
用途次第ではiPhoneよりも使いやい「BlackBerry Bold」
2009年のナンバー2はBlackBerry Boldだ。レビューでも触れているが、メール端末としての使い勝手はピカイチであり、音楽プレーヤーとしても不満はない。多少の慣れは必要だが、QWERTYキーボードで快適に文字入力でき、情報を引き出すのが中心なら片手でも安心して使える。文字入力以外の操作は中央のトラックボールと左右のキーで行えるので、右手と左手どちらでも快適に扱える。初期状態でも不都合なく使えることを考えると、Windows Mobile端末やiPhoneよりも使い勝手に優れていると思う。
また、通信インフラに対する考え方も独特だ。BlackBerryの利用にはRIMのサービスを契約し、ISP料金のような形で国内では月額1575円を支払う必要がある(2010年4月までキャンペーンにより50%オフ)。その代わり、無線LAN接続やメールのリアルタイム受信を含む、多くのサービスや機能をほぼ制限なく利用できる。
さらに、3Gネットワークでの利用はパケット定額制を前提にしているiPhoneと異なり、月額390円~5985円の「Biz・ホーダイダブル」を組み合わせることで、データ通信量が最小限に抑えられる。もちろん何の遠慮もなく3Gネットワークで使えば上限額に達することは目に見えるが、移動中は3G網でメールを送受信し、ほかは無線LANを活用すれば通信コストを十分に抑えられる。メールは先頭の一部だけを受信し、続きは無線LANに接続して受信するようにしている。
シニア向け“元祖”は伊達じゃなかった「らくらくホン6」
ナンバー3にはドコモの「らくらくホン6」を挙げたい。筆者が母親用の端末をauからドコモにMNPする形で手に入れたものだが、最大のきっかけは「防水」だ。濡れることが前提ではないが、防水の安心感は計り知れない。連絡待ちのときでも身に付けて水回りでの作業もできるし、何より汚れても洗い流すだけで済む。FeliCaやFOMAハイスピードが非対応なのが気になるが、音声通話とメールの利用が中心なら、大きな問題はないだろう。
母親にはこれまでもシニア層向けの端末を使ってもらっていたが、メニュー構成や表記1つを取っても、「最新のらくらくホンだな」と思わせてくれた。筆者の母親はアドレス帳も使いこなせない機械オンチであり、今までの端末ではワンタッチダイヤルを使ってもらうのが限界だったが、らくらくホン6では(母親が)メニューボタンから使える機能が増えた。これはメニューの並びやガイダンス表記が分かりやすかったのだろう。また、不在着信の通知とともに、どのボタンを押せばよいかを画面に表示してくれる。「そこまでするか」と思う人もいるだろうが、こういった機能を筆者は求めていた。ケータイの「不在着信あり」の通知を見るたびに、「あなた電話した?」という電話が母親からちょくちょく掛かってくることは、もうなさそうだ。
今年は「iPhone 3GS」も購入したが、こちらは選外とした。触れている時間だけなら最も長いだろうが、電話機としてはほぼ使っておらず、“カメラ付きiPod touch状態”なので、スマートフォンとして正しい評価が下せるとは思えなかったからだ。
音声端末に関しては、今年はよく言えば熟成の年だった。スリム化を含めてデザインにこだわった端末も多く登場し、カメラは1000万画素を超えた。反面、新たなサービスや機能が乏しく、ほとんど食指が動かなかったし、同じような閉塞感を感じた人も多いのではないだろうか。2010年は、もっとワクワクする端末が登場することを期待したい。
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