スピードが命――Androidと組織横断のチームで実現した「Xperia」の“心地よさ”:開発陣に聞く「Xperia」(前編)(3/3 ページ)
発表直後から大きな反響を集めたソニー・エリクソン製のスマートフォン「Xperia」がドコモから発売された。「Timescape」や「Mediascape」などの新しいUIや、日本向けに大きなカスタマイズを施した「POBox Touch 1.0」など、ソフトウェアへのこだわりを聞いた。
組織を横断したチームで開発
ITmedia Xperiaの気になる点として、多くの読者がキーの反応速度を挙げていますが、私が何度か触った限り、大きく不満を感じたことはありませんでした。
長谷川氏 動作速度については、ようやく十分なスピードが出るようになったというのが正直なところです。世界で発表した昨年11月には、とてもお見せできるレベルではありませんでした。
ITmedia 満足のいく速度が出るよう、何か工夫をされたのでしょうか。
長谷川氏 スピードは全機能の命なので、ハードからソフトまで、すべて同じチームで開発してきました。Timescapeのデザインやムービーを作ってゴールを設定する者と、ミドルウェアに携わる者が同じテーブルに座って議論するなど、組織を横断したチームで開発を進めてきました。
ITmedia 動作速度のほかに、ソフトウェアの開発で重視したところはありますか。
西村氏 出荷するエリアごとに、特有のSNSを入れることはありますが、Googleのサービスと変な形で統合することは、Androidの魅力を阻害しかねません。Googleのサービスにはしっかり準拠し、ソニー・エリクソンでないとできないことに注力しました。
「POBox Touch 1.0」はあえて「ハイライト」を初期設定に
ITmedia 日本語入力システムには、これまでのPOBoxをタッチパネル向けに改良した「POBox Touch 1.0」を採用しています。ここも、日本向けに施した大きなカスタマイズの1つですね。
長谷川氏 私がこれまで担当していたau端末では、「POBox 1.0」から「POBox Pro」まで開発してきました。ダイヤルキーを使った変換では、いかに賢く学習させるか、ユーザーが望む変換をきちんとできるかを重視してきましたが、ダイヤルキーだけでは限界があります。QWERTYキーを使った入力のアイデアは日々考えていたので、今回のPOBox Touch 1.0で念願の第一歩を踏み出せました。まだ温めているアイデアはあるので、継続して改善していきたいです。
ITmedia POBox Touch 1.0は次に入力する文字を予測して、押されそうなキーを大きく表示する独特の入力方法を採用しています。
長谷川氏 今回は最初のキーでどこまで日本語を自由に入力できるかにこだわり、(QWERTYキーでは)よく使う記号は画面を切り替えずに入力できるようにしました。
西村氏 キーの形状を変えられるソフトウェアキーボードは、物理キーよりもカスタマイズしやすいというメリットがあります。POBox Touch 1.0のQWERTYキーには「Q」がないなど(「ノーマル」モード時を除く)、日本語が入力しやすくなるよう割り切った部分もあります。また、次に入力されやすいキーを大きく表示する「ハイライト」では、子音の後は母音と一部の子音しか押されないなどの解析を反映しています。
ITmedia POBox Touch 1.0のQWERTYキーでは、ハイライトのほか、よく使う母音を大きく表示する「ワイド」、ワイドとハイライトを組み合わせた「ダイナミック」という3つの入力方法を選べるのが便利です。
長谷川氏 ユーザーの好みに合わせて複数のモードを考えました。ほかに、キーのレイアウトが変わるのが気になるという人のために、通常のQWERTY配列で文字を入力できる「ノーマル」も用意しています。
ITmedia 初期設定はハイライトになっていますね。
西村氏 当初は、初期設定をノーマルにすることも検討していましたが、ハイライトの方が多くのユーザーにメリットがあると考えました。ソフトウェアキーボードは使いにくそう、という不安を取り除きたかったという思いもあります。
ITmedia POBox Touch 1.0とフリック入力を併用できたら、完ぺきですね。
西村氏 機能の追加は比較的容易に行えるので、ニーズがあるものは取り入れていきたいと思います。
(後編に続く)
関連キーワード
POBox | POBox Touch | QWERTY | Xperia | カスタマイズ | Google | キーボード | ソフトウェアキーボード | Android | 日本語入力 | SNS | ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ | Timescape | タッチパネル | Xperia(SO-01B)
関連記事
オープンとiモードのいいとこ取りをする――ドコモが「Xperia」の先に見る景色
「楽しんでほしい」――「Xperia」のインタビュー中に最も多く聞かれた言葉だ。ソニー・エリクソンがこだわったエンターテインメント機能に、ドコモのこだわりをミックスさせ、Xperiaは新しいスマートフォンへと昇華された。ドコモがXperiaで目指すものとは――。「Xperia」が狙う新市場――ソニー・エリクソン 仲井社長に聞く
発売が目前に迫り、一部店舗では予約受け付けも始まっている「Xperia」。このソニー・エリクソンの戦略モデルは、日本市場にどう切り込むのか。代表取締役社長の仲井一雄氏に聞いた。アキバヨドバシで約1000台の予約、iPhone以上の盛況ぶり――「Xperia」発売記念イベント
いよいよ発売されたドコモのスマートフォン「Xperia」。ドコモはヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでXperia発売記念イベントを実施。山田社長や成海璃子さんが駆け付けた。過去最高の予約数――ビックカメラで「Xperia」販売開始記念イベント
ビックカメラ有楽町店店頭で4月1日、ソニー・エリクソン製Androidスマートフォン「Xperia」の販売開始記念イベントが開催された。ビックカメラでの予約は、ケータイを含めて過去最高となる台数に達したという。Sony Ericsson、Android搭載スマートフォン「XPERIA X10」を発表
英Sony Ericssonが、Rachaelという開発コードネームで噂されていたAndroid OS搭載スマートフォン「XPERIA X10」を発表した。2010年前半以降に日本市場にも投入するという。ドコモ、Androidスマートフォン「Xperia」を発表
NTTドコモとソニー・エリクソンが1月21日、Androidスマートフォン「Xperia」を発表した。レーベルゲート、「Xperia」発売に合わせ音楽配信「mora touch」を開始
4月の「Xperia」発売に合わせ、レーベルゲートがAndroid端末向け音楽配信サービス「mora touch(モーラタッチ)」を開始する。音声認識機能などにも対応し、タッチパネルならではの使い勝手を目指す。スマートフォンを使いやすく――「Xperia」を基点にドコモが目指すもの
ドコモのスマートフォン「Xperia」は、「Mediascape」や「Timescape」といった独自のUI(ユーザーインタフェース)を採用したことで、今までにないエンタメ機能を用いたコミュニケーションを可能にした。ドコモがXperiaを基点に目指すもの、そしてXperiaのiPhoneにはない魅力とは――。写真で解説する「Xperia」(POBox Touch編)
日本の幅広いケータイユーザーをターゲットにした「Xperia」は、これまで登場したスマートフォンと比較しても非常に優れた日本語入力システムを搭載している。POBox Touchの使いやすさは、特筆に価する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.